主要な成分マスタ
※日本の薬機法で医薬品扱いでも、iHerb等で個人輸入できる成分(NAC等)は「サプリ必須」に分類しています。
ナイアシンアミド (NAM)
ビタミンB3の一種であり、NMNやNRと同じく体内でNAD+を作り出す前駆体です。最大の特徴は「圧倒的な安価さ」と、美容液などにも使われる「肌への高い有効性」です。よく似た名前の「ナイアシン(ニコチン酸)」を大量摂取した際に起こる、皮膚が赤く熱くなる「ナイアシンフラッシュ」という強烈な副作用が、このナイアシンアミド(NAM)では一切起こらないという大きなメリットがあります。ただし、安価なNAD+ブースターとして優れている一方で、高用量(1日1000mg以上など)を摂取しすぎると、逆に長寿遺伝子[サーチュイン]の働きを阻害してしまうという生化学的な罠があるため、長寿目的での大量摂取には知識が必要な成分です。
メトホルミン (Metformin)
フレンチライラック(ガレガ草)由来の成分を元に開発され、60年以上にわたり2型糖尿病の第一選択薬として使用されている処方薬です。2014年の大規模調査で「メトホルミンを飲む糖尿病患者は、健康な非糖尿病患者よりも長生きする」と発表されたことで、抗老化薬として世界的な注目を集めました。しかし2020年代以降の研究で、過去のデータには「不死期間バイアス(Immortal time bias)」という統計的欠陥が含まれていたことが判明し、さらに「有酸素運動や筋力トレーニングによる適応効果を阻害する」という副作用も確認されました。現在では「糖尿病等の代謝異常を持つ人には有用な効果をもたらすが、運動習慣のある健康な人が抗老化目的で服用するべきではない」という医学的慎重論が主流となっています。
カナグリフロジン (Canagliflozin)
腎臓の近位尿細管におけるブドウ糖の再吸収を阻害し、尿中にブドウ糖を排出させるSGLT2阻害薬(2型糖尿病治療薬)です。米国国立老化研究所(NIA)の「介入テストプログラム(ITP)」において、オスのみとはいえ【マウスの寿命を有意に延長(最大14%)】したことが証明され、長寿医学の分野においてメトホルミンやアカルボースに次ぐ次世代の「抗老化ドラッグ」として大きな注目を集めています。長寿効果の背景には、単なる血糖低下だけでなく、疑似的なカロリー制限状態を作り出すことによるmTORの抑制とAMPKの活性化が関与していると考えられています。
コエンザイムQ10 (ユビキノール)
細胞のミトコンドリア内膜に存在する補酵素であり、電子伝達系におけるATP産生に不可欠な脂溶性の抗酸化物質です。体内合成量は加齢に伴い減少します。心不全の予後改善や、スタチンによる筋肉痛の軽減などを目的とした臨床試験が多数行われています。
メラトニン (Melatonin)
脳の松果体から分泌されるインドールアミン系のホルモンです。W・ピエルパオリ博士らの初期の研究により、松果体とメラトニンが生物の老化時計に深く関与することが示されました。概日リズム(睡眠・覚醒のサイクル)の調整薬として広く知られていますが、血液脳関門や細胞膜を容易に通過し、ミトコンドリア内で直接的な抗酸化物質として働くことが解明されています。
DHEA
主に副腎皮質から分泌される内因性のステロイドホルモン(プロホルモン)です。血中では硫酸抱合体(DHEA-S)として存在し、必要に応じて各組織でテストステロンやエストラジオールなどの性ホルモンに変換されます。分泌量は20代をピークに加齢とともに直線的に減少し、70代ではピーク時の約20%まで低下することが知られています。免疫機能の調整や認知機能に関する研究が行われています。
テストステロン (Testosterone)
精巣(および副腎、卵巣)でコレステロールを原料として合成される主要なアンドロゲン(男性ホルモン)です。筋肉タンパク質の合成促進、骨密度の維持、造血機能の刺激、および認知・性機能の維持において極めて重要な役割を果たします。加齢に伴う分泌量の低下は「加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)」の原因となり、フレイルやサルコペニアの進行リスクを増大させます。
エストラジオール (Estradiol)
卵巣(および脂肪組織等)で合成される最も活性の高いエストロゲン(女性ホルモン)です。女性の生殖機能の制御に加え、全身の血管内皮機能の維持、骨吸収(骨が溶けること)の抑制、脳の神経保護など、多岐にわたる生理的作用を持ちます。閉経に伴うエストラジオールの急激な枯渇は、骨粗鬆症や動脈硬化、脂質異常症の急速な進行要因となることが明確に示されています。
コラーゲンペプチド (Collagen Peptides)
動物の結合組織を構成するタンパク質(コラーゲン)を酵素処理等により低分子化し、吸収性を高めたペプチドの総称です。過去には「摂取してもアミノ酸にまで完全に分解されるため意味がない」とされていましたが、近年の分析技術の進歩により、ヒドロキシプロリンを含む特定のジペプチド(Pro-Hypなど)やトリペプチドが、分解されずにそのままの形で血中に移行することが証明されました。皮膚弾力の向上や関節軟骨の保護に関する臨床的証拠が蓄積されています。
ビタミンD3 / K2
骨の健康、免疫、心血管系の健康に必須の脂溶性ビタミンの組み合わせ。
オメガ3脂肪酸 (EPA/DHA)
魚油に含まれる必須脂肪酸。数万人規模のヒトRCTで心血管疾患リスクの低下や全身の慢性炎症(SASP)を強力に抑え込むことが証明されている最高ランクのサプリメントです。
エキストラバージン・オリーブオイル (EVOO)
地中海食の要であり、オレイン酸と強力なポリフェノールを豊富に含む最強の抗老化「食品」です。数多くの大規模RCTで心血管リスク低下や寿命延長効果が証明されています。
NMN
NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の直接的な前駆体であり、細胞のエネルギー生産とサーチュイン(長寿遺伝子)の活性化に不可欠な次世代の抗老化成分。ハーバード大学のデビッド・シンクレア博士の研究により一躍世界的な注目を集め、動物実験で劇的な若返り効果が証明されました。老化に伴って減少するNAD+を効率的に補充し、ミトコンドリア機能を回復させる「若返りのスイッチ」です。
NR (ニコチンアミドリボシド)
[NMN]と並ぶ、NAD+(生命活動と若返りに不可欠な補酵素)を増やすための「もう一つの最強の前駆体」です。世間的な知名度はハーバード大のデビッド・シンクレア教授が強力に推すNMNに完全に奪われていますが、実は「人間での臨床試験(RCT)の豊富さと歴史」においてはNRの方が圧倒的に先行しています。市場にサプリが少ないのは、米国のChromaDex社が厳格な特許で製造を独占しており、NMNのように安価なコピー原料が世界中で乱立できなかったという「ビジネス上の背景」があるためです。一般の消費者にはNMNとの違いが分かりにくいですが、細胞への吸収メカニズムを巡って「NR派」と「NMN派」のトップ学者同士が今も激しい論争を繰り広げている、超本格的な長寿成分です。
ナイアシン (ニコチン酸)
ビタミンB3の一種(ニコチン酸)であり、アミノ酸のトリプトファンからも体内で合成される水溶性ビタミンです。糖質、脂質、タンパク質の代謝やエネルギー産生に関わる脱水素酵素の補酵素として働き、DNA修復や細胞分化など幅広い生体反応に必須の栄養素です。古くからペラグラ(ビタミンB3欠乏症)の治療や脂質異常症の治療薬として使用されてきました。近年、NMN等と同様に体内でNAD+を作り出す前駆体であることが判明し再注目されましたが、摂取時に血管拡張による「ナイアシンフラッシュ(皮膚の発赤と熱感)」を引き起こす副作用があります。また、過剰摂取による肝機能障害や、代謝産物(4PY)による心血管疾患リスクの上昇が報告されているため、高用量摂取には注意が必要です。
ベルベリン (Berberine)
オウレンやキハダなどの植物に含まれるアルカロイド成分です。古くから東洋医学で胃腸薬(抗菌・抗炎症薬)として使用されてきましたが、近年「メトホルミンと同等の血糖値改善効果」を持つことが臨床試験で確認され、「天然のメトホルミン」として長寿研究コミュニティで大きな注目を集めています。強力なAMPK活性化作用による抗老化ポテンシャルを持つ一方で、腸内細菌叢への影響が強いため、長期的な連続摂取については定期的な休薬期間(サイクル)を設けることが推奨されるなど、取り扱いに知識を要する成分です。
アカルボース (Acarbose)
食事に含まれる炭水化物(デンプン等)の分解・吸収を遅らせることで、食後の急激な血糖値上昇(スパイク)を防ぐ、FDA(米国食品医薬品局)承認済みの経口糖尿病薬(α-グルコシダーゼ阻害薬)です。米国国立老化研究所(NIA)の厳格な寿命延長テスト(ITP)において、マウスの寿命を有意に延長することが複数回にわたり証明された数少ない医薬品の一つであり、「薬理学的なカロリー制限模倣薬」として長寿研究コミュニティで強く支持されています。
グルコサミン (Glucosamine)
カニやエビの甲殻などから抽出されるアミノ糖であり、軟骨を構成するプロテオグリカンの原料となります。長年にわたり変形性関節症のサプリメントとして広く利用されてきましたが、近年の疫学調査において「定期的なグルコサミン摂取が心血管疾患リスクや全死亡率の低下と相関する」というデータが報告され、関節ケアの枠を超えた健康寿命延伸物質としての研究が進展しています。
ケルセチン (Quercetin)
タマネギの皮やリンゴなどに含まれる代表的なポリフェノール(フラボノイド)です。従来は抗酸化成分として知られていましたが、2015年にメイヨークリニックの研究チームによって「世界初のセノリティクス(老化細胞除去薬)」として発見され、抗老化の歴史に名を刻みました。単独よりも、白血病治療薬であるダサチニブ(Dasatinib)と併用する「D+Q療法」として使用されることが多く、人間を対象とした複数の臨床試験で実際に体内の老化細胞を減少させることが証明されています。
ウロリチンA (Urolithin A)
ザクロやベリー類に含まれる「エラグ酸」が、腸内細菌によって代謝されることで初めて体内で作られる強力なアンチエイジング成分です。最大の特徴は、古くなって機能不全に陥ったミトコンドリアだけを選択的に破壊・再生させる『マイトファジー(Mitophagy)』を誘導する能力にあります。スイスのEPFL発のバイオベンチャーが研究を牽引しており、高齢者だけでなく「若いアスリートのパフォーマンス向上」や「心疾患の治療」など、近年最も臨床試験(RCT)の成功報告が相次いでいるトップクラスのミトコンドリア活性化成分です。
スペルミジン (Spermidine)
納豆、熟成チーズ、小麦胚芽などに豊富に含まれる「ポリアミン」の一種です。元々は精液の中から発見されたためこの名がつきましたが、現在ではあらゆる生物の細胞内に存在し、細胞の異常タンパク質などのゴミを掃除する『オートファジー(自食作用)』を強力に誘導する成分として世界中の長寿研究者から熱視線を浴びています。大規模な疫学調査において、食事からのスペルミジン摂取量が多い人ほど死亡率が低くなることが実証されており、近年では脳の炎症を防ぎ「認知機能」を保護する臨床試験データが続々と発表されています。
トレハロース (Trehalose)
キノコ類や酵母などに含まれる天然の二糖類(糖質)です。食品の保湿剤や甘味料として日常的に広く使われていますが、長寿医学の分野においては『mTOR経路に依存せずにオートファジーを誘導する』という極めて珍しい特性を持つことが発見され、アルツハイマー病や動脈硬化などの「細胞内のゴミ蓄積(タンパク質凝集)」が原因となる疾患の予防薬として注目されています。
PQQ (ピロロキノリンキノン)
母乳や納豆などに微量に含まれる酸化還元補酵素です。細胞内のミトコンドリア生合成を促進する作用があり、認知機能や疲労感の改善に関する臨床試験が実施されています。
メチレンブルー (Methylene Blue)
19世紀に合成された青色染料であり、熱帯魚の白点病治療や解毒剤として古くから使われてきました。しかし近年の長寿医学において、メチレンブルーがミトコンドリアの電子伝達系に入り込み、加齢で劣化した電子の受け渡しを「肩代わり(バイパス)」してエネルギー生産を強制的に再稼働させる強力なミトコンドリア・ブースターであることが判明しました。現在、吸収性と安全性を高めた改良型(HMTM/LMTM)が「アルツハイマー病の進行を食い止める新薬」として、人間での第3相臨床試験を通過しつつあります。
リチウム (Lithium)
微量元素の一つであり、高用量は精神疾患の治療に用いられます。アンチエイジング領域では、低用量(マイクロドーズ)による神経保護作用や寿命への影響が研究されています。疫学調査により、飲料水中の微量リチウム濃度と認知症発症率や全死亡率の逆相関が報告されています。
プテロスチルベン (Pterostilbene)
ブルーベリーなどに含まれるスチルベン系のポリフェノールで、レスベラトロールの類縁体です。レスベラトロールと比較して高い親脂性と生体利用率(吸収率)を持ちます。SIRT1(サーチュイン1)の活性化作用があり、NAD+前駆体と組み合わせた臨床試験が多数実施されています。
アルファケトグルタル酸 (AKG)
TCA回路の中間代謝物として機能する内因性物質です。加齢に伴い血中濃度が低下することが知られています。動物実験において寿命延長効果が確認されており、人間においてもDNAメチル化年齢(生物学的年齢)への影響を調査する臨床試験が進行しています。
スルフォラファン (Sulforaphane)
ブロッコリースプラウト等に豊富に含まれるフィトケミカルです。細胞の自己防御システムであるNrf2経路を活性化する成分として知られています。自閉症スペクトラム障害や、認知機能低下に対する臨床試験が実施されており、神経系に対する保護効果が検証されています。
クルクミン (Curcumin)
ターメリック(ウコン)の主成分であるポリフェノールです。抗炎症作用と抗酸化作用を持ち、血液脳関門(BBB)を通過する性質があります。脳内のアミロイドβやタウタンパク質への影響が研究されており、認知機能や気分障害に対する臨床試験が実施されています。
アスタキサンチン (Astaxanthin)
サケや微細藻類に含まれるカロテノイド(天然色素)の一種です。脂溶性の抗酸化物質であり、細胞膜を貫通する構造を持つため、細胞膜の内外で抗酸化作用を発揮します。血液脳関門(BBB)および血液網膜関門(BRB)を通過し、心不全、糖尿病、認知機能、皮膚状態に関する臨床試験が行われています。
アルファリポ酸 (ALA)
ミトコンドリアのエネルギー代謝において必須の補酵素として機能する有機化合物です。水溶性と脂溶性の両方の性質を併せ持つため、細胞膜および細胞質の両方で抗酸化作用を発揮します。体内で合成されますが、加齢とともに合成量は減少します。糖尿病性神経障害の治療において臨床的な実績があり、インスリン感受性の改善や酸化ストレスの低減に関する研究が多数報告されています。
カルノシン (Carnosine)
β-アラニンとL-ヒスチジンから構成されるジペプチドであり、骨格筋や脳、神経組織に高濃度で存在します。最大の特徴は、タンパク質と糖が結びついて生じる終末糖化産物(AGEs)の生成を抑制する「抗糖化作用」です。加齢による組織の硬化や機能低下を防ぐ物質として研究されており、微小血管機能や運動パフォーマンスに関する臨床試験が行われています。
ベンフォチアミン (Benfotiamine)
ビタミンB1(チアミン)の脂溶性誘導体です。通常開発される水溶性のチアミンと比較して生体利用率(腸管からの吸収および組織への移行)が高く設定されています。体内の糖代謝プロセスに介入し、細胞内で有害な終末糖化産物(AGEs)が生成されるのを防ぐ経路を活性化します。糖尿病性神経障害や認知機能低下に対する臨床試験が実施されています。
NAC (N-アセチルシステイン)
アミノ酸の一種であるL-システインのN-アセチル誘導体です。医療現場ではアセトアミノフェン中毒の解毒剤や粘液溶解薬として使用されてきました。体内で最も豊富に存在する内因性抗酸化物質「グルタチオン」の合成における律速アミノ酸(システイン)を供給します。近年はグリシンと組み合わせた「GlyNAC」としての臨床研究が進んでいます。
GHK-Cu (銅ペプチド)
ローレン・ピッカート博士らによって人間の血漿中から発見された、グリシル-L-ヒスチジル-L-リジン(GHK)と銅(Cu)の複合体です。体内濃度は加齢に伴い顕著に低下することが確認されています。皮膚の幹細胞に働きかけ、コラーゲンやエラスチンの生成を促進するほか、全身の遺伝子発現を若年期に近い状態へリセットする効果が基礎研究で示されており、皮膚科学および創傷治癒の分野で臨床応用されています。
成長ホルモン (HGH)
脳下垂体前葉の成長ホルモン産生細胞から分泌されるペプチドホルモン(ソマトトロピン)です。小児期には骨端線の成長を促進し、成人期には体組成の維持、脂肪代謝の促進、組織修復に関与します。分泌量は思春期にピークを迎え、その後加齢とともに低下します。アンチエイジング医療において使用される一方で、過剰な分泌は寿命を短縮させる可能性が動物モデルで示唆されており、適正な管理が議論されています。
ヒアルロン酸 (Hyaluronic Acid)
N-アセチルグルコサミンとグルクロン酸が結合した直鎖状のグリコサミノグリカン(多糖類)です。細胞外マトリックスの主要成分として、皮膚、関節液、眼の硝子体などに広く分布します。自身の重量の約1000倍の水分を保持する物理的特性を持ち、組織の潤滑や衝撃吸収を担います。寿命が非常に長いハダカデバネズミの体内には「超高分子量ヒアルロン酸」が豊富に存在し、これが抗がん作用や長寿に関与していることが判明しています。
アストラガルス (TA-65)
黄耆(オウギ)という植物の根から抽出・精製された特許成分。細胞の寿命を司るテロメアを修復する「テロメラーゼ酵素」を活性化させることがヒトの臨床試験で確認されている希少な成分です。
GlyNAC (グリシン + NAC)
体内の最強の抗酸化物質「グルタチオン」を若い頃のレベルまで完全に回復させる強力なコンボ。ベイラー医科大学の人間でのRCTにおいて、高齢者の歩行速度、握力、認知機能などの老化マーカーを劇的に改善した最高ランクの組み合わせです。
クレアチン・モノハイドレート (Creatine)
「筋トレ用サプリ」という古い認識は終わり、現在は脳の老化防止とサルコペニア(筋肉減弱症)予防のための「最重要Tier 1サプリ」として再評価されています。膨大なヒトRCTにより、高齢者の認知機能向上と筋肉量維持が証明されています。
レスベラトロール
ブドウの果皮等に含まれるポリフェノールであり、サーチュイン遺伝子(SIRT1)の活性化物質として長年研究されています。 【ITP試験と長寿研究における最大の論争】 アメリカ国立老化研究所(NIA)が主催する最も厳格な動物寿命試験「ITP(介入試験プログラム)」において、レスベラトロールは「健康なマウスの寿命を延ばす効果がない(寿命延長の失敗)」という結果に終わりました。 この結果を受け、現在の長寿研究界隈では見解が大きく2つに分かれています。 1. 否定派(ピーター・アティア医師など): ITPで効果が証明されなかった以上、寿命延長効果は期待できないと見なし、自身のプロトコルから除外しています。過去の良好なデータは「高カロリー食の悪影響を相殺しただけ」という見方をしています。 2. 推進派(デビッド・シンクレア博士など): レスベラトロールは吸収率(バイオアベイラビリティ)が極めて低いため、ITPのように通常の餌に混ぜて投与する手法では体内に吸収されなかったと反論しています。オリーブオイルやヨーグルトなどの脂質と一緒に適切に摂取することで初めて効果を発揮すると主張し、現在でもNMNのアクセル役として推奨しています。
ラパマイシン
イースター島のモアイ像付近の土壌バクテリアから発見された、人類史上最も強力な「寿命延長薬」の最有力候補です。細胞の栄養センサーである[mTOR]を阻害し、細胞のゴミをリサイクルする若返りシステム[オートファジー]を強制的に起動させることで、酵母からマウスに至るまであらゆる生物の寿命を劇的に延ばすことが証明されています。長らく「動物には効くが人間にはどうか?」と議論されてきましたが、2023年の大規模調査で「実際に長寿目的でオフラベル(適応外)服用している333人の健康な大人において、安全かつ健康状態を向上させている」ことが実証されました。さらに現在、健康な人間を対象とした寿命延長の最終決戦とも言える[PEARL試験]も進行中であり、世界のトップバイオハッカーたちの間ではすでに事実上の「最強の抗老化薬」として実用化フェーズに入っている究極の成分です。
アピゲニン (Apigenin)
カモミール、パセリ、セロリなどに豊富に含まれるフラボノイド(ポリフェノールの一種)です。リラクゼーション効果や抗炎症作用が古くから知られていましたが、近年、体内のNAD+レベルを低下させる主要な酵素である「CD38」を強力に阻害する作用が発見されました。NAD+ブースター(NMNなど)と併用することで、その効果を最大化する「NAD+保護物質」として研究されています。
ルチン (Rutin)
そば(蕎麦)、柑橘類、アスパラガスなどに豊富に含まれるフラボノイド配糖体であり、かつては「ビタミンP」とも呼ばれていました。主に毛細血管の強化や血流改善を目的として研究が進められ、欧州では慢性静脈不全などの血管系疾患に対する補完治療として古くから利用されています。近年の抗老化研究においては、強力な抗酸化作用に加え、エネルギーセンサーである「AMPK」の活性化や、長寿遺伝子(FOXO/DAF-16)の経路を介した寿命延長効果が線虫モデル等で報告されており、血管の老化防止および代謝改善機能を持つ成分として再評価されています。ケルセチンに糖が結合した構造を持ち、体内で腸内細菌によって分解されることで効果を発揮する側面も持ち合わせています。
フィセチン (Fisetin)
イチゴやリンゴなどに含まれるフラボノイドであり、現在最も有望視されている天然のセノリティクス(老化細胞除去薬)の一つです。 【2023年 ITP試験(寿命試験)の厳しい結果】 メイヨークリニックなどの初期研究で「強力な老化細胞の除去効果」が確認され、長寿界隈で大流行したフィセチンですが、2023年に発表されたアメリカ国立老化研究所(NIA)の厳格な「ITP(介入試験プログラム)」において、マウスの寿命(中央値および最大値)を延ばす効果は確認されませんでした(寿命延長の失敗)。 細胞レベルでの老化細胞クリアランス効果は事実としてあるものの、ITPの厳格な環境下では「単体で寿命そのものを延ばす魔法の薬にはならなかった」という厳しい現実が示されています。 【パルス投与(ヒット&ラン方式)とヒトRCTの現在地】 ITPの結果も踏まえ、現在界隈で議論されているのが「パルス投与(数ヶ月に1回、数日間だけ超高用量を連続摂取する手法)」です。これはメイヨークリニックが考案したプロトコルで、毎日飲む副作用を避けつつ老化細胞だけを叩く合理的な手法とされています。 現在、メイヨークリニックはこのパルス投与を用いて、人間を対象とした複数の第2相臨床試験(RCT)を進行中ですが、現時点において「人間で明確に若返った」とする最終的な有効性データはまだ論文として正式に発表されていません。 研究者自身も、「正式な結果が出るまでは、一般の人が自己判断でメガドーズ(超高用量)のパルス投与を行うべきではない」と強い警告を発しており、人間での有効性は未だ検証待ちの段階です。
ダサチニブ (Dasatinib)
本来は慢性骨髄性白血病(CML)の治療に用いられるチロシンキナーゼ阻害薬(分子標的薬)です。しかし2015年にメイヨークリニックの研究で、ケルセチンと併用する「D+Q療法」が、蓄積した老化細胞を死滅させる世界初の『セノリティクス(Senolytics)』であることが発見されました。現在、特発性肺線維症(IPF)や糖尿病性腎臓病、アルツハイマー病など、加齢に伴う難治性疾患に対する老化細胞除去アプローチとして、人間での臨床試験が最も進んでいる医薬品です。
ピペルロングミン (Piperlongumine)
長胡椒(ヒハツ)などの植物の根に微量に含まれる天然のアルカロイド成分です。元々は抗がん作用を持つ成分として研究されていましたが、2016年のスクリーニング研究により、正常な細胞には毒性を示さず、老化細胞(ゾンビ細胞)だけを選択的に死滅させる『天然のセノリティクス(老化細胞除去薬)』であることが発見されました。フィセチンなどとは異なる独自のアポトーシス(自死)誘導メカニズムを持つため、次世代の強力な抗老化成分として研究が進んでいます。
ルテオリン (Luteolin)
パセリ、セロリ、ピーマンなどの緑黄色野菜やハーブ類に多く含まれる天然のフラボノイドです。強い抗酸化作用と抗炎症作用を持つことで知られていますが、長寿研究においては、老化細胞自体を殺すのではなく、老化細胞がまき散らす毒素(SASP因子)の分泌を抑え込む『セノモルフィック(Senomorphics)』として極めて優秀な成分であることが判明しています。特に脳の神経炎症を強力に防ぐため、脳のアンチエイジングや認知機能低下の予防において重要な役割を果たします。
エルゴチオネイン (Ergothioneine)
キノコ類に多く含まれ、科学者の間で「長寿ビタミン」と呼ばれている強力な抗酸化アミノ酸。人間の体内にはエルゴチオネイン専用のトランスポーター(運び屋タンパク質)が存在し、人体がこれを極めて重要視していることが分かっています。
エピタロン (Epitalon)
ロシアのウラジミール・ハビンソン教授らにより、松果体由来のポリペプチド(エピタラミン)を基に合成された4つのアミノ酸からなるテトラペプチドです。細胞の分裂寿命を決定する「テロメア」の長さを維持する酵素(テロメラーゼ)を活性化する物質として、ロシアを中心に数十年間の研究実績があります。動物実験における寿命延長効果や、高齢者の死亡率に関する疫学データの報告が存在します。
MOTS-c
核DNAではなく、ミトコンドリアDNA(mtDNA)にコードされている16個のアミノ酸からなるペプチド(MDP: Mitochondrial-Derived Peptide)です。筋肉組織を主要な標的とし、細胞内のエネルギー状態を感知して代謝を調整します。「運動模倣薬(運動したのと同じような代謝状態をもたらす物質)」として注目されており、加齢に伴う筋肉量の減少やインスリン抵抗性に関する研究が進行しています。
アシュワガンダ (Ashwagandha)
インドの伝統医学(アーユルヴェーダ)において数千年にわたり使用されてきたナス科の常緑低木(Withania somnifera)です。主要な活性成分である「ウィザノライド(Withanolides)」類を含み、生体のストレスに対する抵抗力を高める「アダプトゲン」としての作用が科学的に検証されています。コルチゾールの低減、睡眠の質の向上、および免疫調節に関する臨床試験が多数存在します。
タウリン
2023年に権威ある科学誌『Science』で「タウリン不足が老化の原動力である」と発表され、一躍アンチエイジングの主役に躍り出たアミノ酸。マウスで10〜12%の寿命延長、サルでの健康寿命の大幅改善が確認されています。人間における血圧低下や運動パフォーマンス向上のRCTも豊富です。
TMG (トリメチルグリシン/ベタイン)
ビート由来のアミノ酸誘導体。NMNなどNAD+前駆体の摂取時に推奨される。