Ingredient · 成分マスタ
アルファリポ酸(ALA)
ミトコンドリアのクエン酸回路で必須補酵素として機能する有機化合物。水溶性・脂溶性の両方の性質を併せ持つ稀有な抗酸化物質で、細胞膜の内外両方で抗酸化作用を発揮します1。体内合成されますが加齢とともに低下します。
糖尿病性末梢神経障害(ニューロパチー)の治療において、ドイツを中心に1970年代から30年以上の臨床応用実績があり、Ziegler 2006のドイツ多施設共同試験レビューで疼痛・神経症状の有意な改善が示されています2。2026年のBrain Communications RCT(N=439、12週)では、Pregabalinとの併用で薬剤の低用量化と副作用減少を両立できることが確認され3、Crisugabalinとの比較試験(J Pain Res 2026)では新規薬剤に対する標準対照として位置付けられました4。
Target Hallmarks
Food — 食品からの摂取可否
食品から摂れるか
食事ではほぼ不可能
食品中の含有量は1食あたりμg〜数mgレベル。糖尿病性ニューロパチー治療の臨床用量(300-600mg)に到達するには食材だけでは不可能
主な食材 / 1食目安 → 含有量
- 01レバー(牛・豚)100g→約数mg★ TOP
- 02ほうれん草100g→約数mg
- 03ブロッコリー100g→約数mg
- 04トマト100g→微量
- 05芽キャベツ100g→微量
臨床用量
300-600mg/日 (糖尿病性ニューロパチー、ALADIN試験等)
サプリ推奨量
300-600mg/日 (R体含有量に注意、R-ALA推奨)
結論
ALAは食品にも含まれるが含有量が極めて微量(臨床用量の1/100以下)で、食事だけで臨床効果を期待するのは不可能。加齢で体内合成も低下するため、糖尿病性神経障害や酸化ストレス管理目的ではサプリ補給が必須。
Mechanism
作用機序(メカニズム)
主要なメカニズムは「抗酸化ネットワークの再生」「ミトコンドリア代謝の補酵素」「糖尿病性神経障害の症状改善」の3軸です。
1. 抗酸化ネットワークの再生と重金属キレート1 Rochette 2015 Can J Physiol Pharmacolによれば、ALAは自身が強力な抗酸化物質として働くだけでなく、酸化されて消耗したビタミンC・ビタミンE・グルタチオンを還元・再生する「抗酸化ネットワークのリサイクラー」として機能します1。さらに有害な重金属(水銀・鉛・カドミウム等)と結合(キレート)して尿中排出を促す働きも持ち、現代の環境曝露対策にも有用です。水溶性・脂溶性両方の性質を持つため、細胞膜・細胞質・核全領域で抗酸化作用を発揮できる稀有な分子です。
2. ミトコンドリア・クエン酸回路の必須補酵素1 ALAはピルビン酸脱水素酵素(PDH)・α-ケトグルタル酸脱水素酵素(KGDH)等の必須補酵素として、糖質代謝とエネルギー(ATP)産生に直接関与します1。糖尿病患者で生じるミトコンドリア機能不全への直接的アプローチとなります。
3. 糖尿病性ニューロパチーへのヒトRCT実績23 Ziegler 2006のドイツの多施設共同試験レビュー(ALADIN試験等)で、ALA(チオクト酸) 600mg/日 経口投与・静注投与で糖尿病性末梢神経障害の疼痛・しびれ・自律神経症状の有意な改善が示されました2。2026年Brain Communicationsの最新RCT(N=439、12週)では、Pregabalin (一般的な疼痛治療薬)に併用することで、Pregabalin単剤と同等の鎮痛効果を維持しながら副作用(めまい・口渇)を半減できることが確認されています3。日本でも糖尿病性ニューロパチーの補助療法として広く使われる成分です。
4. 新規薬剤との比較における位置付け4 2026年J Pain ResのPhase 2試験(N=137)では、Crisugabalin(新規鎮痛薬)+Acetyl-Levo-Carnitine群 vs ALA+Acetyl-Levo-Carnitine群が比較され、**Crisugabalin群の方が痛みスコア改善が大きい結果**(平均-4.0 vs -2.1)となりました4。本試験ではALAは「伝統的な標準治療として比較対照」に位置付けられており、ALA単独の効果評価ではない点に注意。新規薬剤の登場でALAの位置付けは「補助療法・併用療法」に移行しつつあります。
Evidence
科学的根拠(エビデンス・論文等)
Alpha-lipoic acid: molecular mechanisms and therapeutic potential in diabetes.
概要アルファリポ酸がビタミンCやE、グルタチオンの再生を促す抗酸化ネットワーク機能と、重金属キレート作用を持つことを解説したレビュー。
Alpha-lipoic acid in the treatment of diabetic polyneuropathy in Germany: current evidence from clinical trials.
概要多施設共同試験において、アルファリポ酸の静脈内および経口投与が糖尿病性神経障害の症状を有意に改善したことを示した。
Combination therapy with pregabalin and thioctic acid offers safer pain control in diabetic neuropathy: a multicenter, double-blind, non-inferiority trial
概要Pregabalin (150mg×2/日) vs Pregabalin低用量(80mg×2/日) + チオクト酸(ALA、400mg×2/日)併用の非劣性RCT(N=439、12週間、糖尿病性末梢神経障害)。【結果】併用群はpregabalin単剤と同等の鎮痛効果を維持し(非劣性確認)、副作用(めまい34% vs 52%、口渇10% vs 20%)が有意に減少。ALAをpregabalinに併用することで、低用量化と忍容性向上の両立が可能であることを示した実用的試験。
Crisugabalin Combined with Acetyl-Levo-Carnitine for Diabetic Peripheral Neuropathic Pain: A Phase 2 Randomized Controlled Trial.
概要Phase 2 非劣性RCT(16週間、中国の糖尿病性末梢神経障害患者137名)で、Crisugabalin+Acetyl-Levo-Carnitine群 vs **ALA(アルファリポ酸)+Acetyl-Levo-Carnitine群**を比較。【結果】Crisugabalin群の方が痛みスコア改善が大きく(平均-4.0 vs -2.1)、ALA群より統計的に有意に優れた。つまり本試験はALAの新規エビデンスではなく、**ALAは伝統的な標準治療として比較対照に使われた**位置付け。ALA単独効果の評価には別試験を参照する必要あり。
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