Ingredient · 成分マスタ
メラトニン(Melatonin)
脳の松果体から分泌されるインドールアミン系のホルモンです。W・ピエルパオリ博士らの初期の研究により、松果体とメラトニンが生物の老化時計に深く関与することが示されました。概日リズム(睡眠・覚醒のサイクル)の調整薬として広く知られていますが、血液脳関門や細胞膜を容易に通過し、ミトコンドリア内で直接的な抗酸化物質として働くことが解明されています。
Target Hallmarks
Food — 食品からの摂取可否
食品から摂れるか
食事ではほぼ不可能
体内合成され、桜桃・トマト・ナッツ等に微量。臨床用量(0.3-5mg/日)を食事から得るのは不可能。日本ではサプリ・医薬品として流通
主な食材 / 1食目安 → 含有量
- 01タルトチェリー100g→約0.1-1.5ng(微量)★ TOP
- 02クルミ100g→約3ng
- 03トマト100g→微量
- 04ブドウ100g→微量
臨床用量
0.3-5mg/日 (Zhdanova 2001 で 0.3mg が至適と判明、市販品の5-10mgは過量)
サプリ推奨量
0.3-1mg/日 (低用量推奨、就寝30-60分前)
結論
メラトニンは食事からはほぼ得られない。市販品は5-10mgが主流だが、Zhdanova 2001のMIT試験で0.3mgが至適と判明。低用量(0.3-1mg)から開始するのが正解。日本では2020年から医薬品メラトベルも発売(小児神経発達症向け)。
Mechanism
作用機序(メカニズム)
主要なメカニズムは、受容体を介した概日リズムの調整と、受容体を介さない直接的なミトコンドリア保護作用です。
1. 直接的なフリーラジカルの消去と抗酸化酵素の誘導12 メラトニンは細胞膜およびミトコンドリア膜を容易に通過します。ビタミンE等とは異なり、一度フリーラジカルを中和した代謝物自体も抗酸化作用を持つ「カスケード反応」を起こすのが特徴です1。
2. ミトコンドリア機能の維持と臨床応用34 加齢による内因性メラトニンの分泌低下は、睡眠障害だけでなく全身の酸化ストレス増大に直結します。2026年に発表された複数のランダム化比較試験において、周産期の心機能保護3や未熟児の腸炎予防4など、強力な細胞保護・抗炎症効果を応用した臨床データが蓄積されています。
食品からの摂取目安とサプリの必要性(難易度:極めて高)
クルミ、トマト、チェリー、ピスタチオなどに微量に含まれています。食品からの摂取で血中濃度がわずかに上昇することは確認されていますが、加齢に伴う分泌量低下を補い、抗酸化物質としての十分な細胞保護効果(1〜3mg以上)を得るためには、食品のみでの達成は困難であり、サプリメントの利用が現実的です。日本ではサプリメントではなく医薬品扱いとなります。
Evidence
科学的根拠(エビデンス・論文等)
Melatonin as an antioxidant: under promises but over delivers.
概要メラトニンおよびその代謝産物が強力な抗酸化カスケードを形成し、受容体を介さず直接ミトコンドリアを保護するメカニズムの総説。
The pineal aging clock. Evidence, models, mechanisms, interventions.
概要ピエルパオリ博士らによる初期の画期的な研究。老齢マウスへの松果体移植やメラトニン投与が寿命を顕著に延長させることを示した。
Melatonin effects on the left ventricular function in neonates with persistent pulmonary hypertension.
概要2026年発表のRCT。肺高血圧症を伴う新生児において、メラトニンの投与が左心室機能(心筋)の保護効果を示すことが確認された。
Role of melatonin for prevention of necrotizing enterocolitis in preterm infants: a randomized controlled trial.
概要2026年発表のRCT。未熟児の壊死性腸炎の予防におけるメラトニンの役割を検証し、炎症の抑制と組織保護効果が示された。
Evidence for the Efficacy of Melatonin in the Treatment of Primary Adult Sleep Disorders
概要エディンバラ大学Royal Infirmaryによる系統的レビュー+メタアナリシス。12件のRCT統合。外因性メラトニンは原発性不眠症の入眠潜時短縮、睡眠相後退症候群の睡眠開始時刻の前進、概日リズム調整を有意改善。「睡眠の質改善は限定的だが、入眠困難・概日リズム障害には効果あり」を明確化。
Melatonin Treatment for Age-Related Insomnia
概要MIT(Zhdanova IV)のランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験。50歳以上30名にメラトニン3用量(0.1/0.3/3.0mg)とプラセボを比較。0.3mg(生理的用量)で睡眠効率最大改善、覚醒時間最大減少。3.0mgは翌朝まで血中残留で低体温・日中眠気の副作用。「市販品の5-10mgは過量、0.3mgが至適」を最初に示した試験。
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