Ingredient · 成分マスタ
ケルセチン(Quercetin)
タマネギ・リンゴ・ベリー類に含まれる代表的なポリフェノール(フラボノイド)です。Zhu 2015 Aging Cellで、メイヨークリニックの研究チームによって「世界初のセノリティクス加齢により体内に蓄積し、周囲に炎症性物質を撒き散らす「老化細胞(ゾンビ細胞)」を選択的に死滅・除去する薬効群。(老化細胞除去物質)候補」として発見され、抗老化研究の歴史に名を刻みました1。
単独より、白血病治療薬であるダサチニブ(D)との併用「D+Q療法」として使用されることが多く、Hickson 2019 EBioMedicine(糖尿病腎症患者で老化細胞減少)2、Justice 2019 EBioMedicine(特発性肺線維症パイロット)3、Gonzales 2023 Nature Medicine(軽度アルツハイマー病Phase 1)4、Nambiar 2023 EBioMedicine(IPF プラセボ対照Phase 1)5と、ヒトでのセノリティクス加齢により体内に蓄積し、周囲に炎症性物質を撒き散らす「老化細胞(ゾンビ細胞)」を選択的に死滅・除去する薬効群。効果が最も進んだ成分です。ただしダサチニブは処方薬なので、ケルセチン単独使用ではD+Q療法ほどの効果は期待できない点に注意。
Target Hallmarks
Food — 食品からの摂取可否
食品から摂れるか
食事だけでは厳しい
タマネギ・リンゴ・ベリー類に含まれるが、D+Q療法のヒトRCT用量(ケルセチン1000mg/日)に到達するには毎日タマネギ数十個が必要
主な食材 / 1食目安 → 含有量
- 01タマネギ(特に皮)中1個(150g)→約30-50mg★ TOP
- 02ケイパー(塩漬け)大さじ1(15g)→約40mg
- 03リンゴ(皮付き)1個(200g)→約8-10mg
- 04ベリー類(クランベリー等)100g→約10mg
- 05緑茶1杯→約3-5mg
臨床用量
1000mg/日 × 月2-3日 (D+Q療法、Hickson 2019・Nambiar 2023 RCT)
サプリ推奨量
500-1000mg/日 (フィトソーム等の吸収率改善型推奨)
結論
タマネギを日常的に食べる人で抗酸化目的なら食事+α可能だが、D+Q療法のセノリティクス効果を期待する場合は臨床用量(1000mg/日)に到達するためサプリ必須。経口生体利用率が低いため、リポソーム化やフィトソーム製剤が推奨される。
Mechanism
作用機序(メカニズム)
ケルセチンの最大の価値は、他のセノリティクス加齢により体内に蓄積し、周囲に炎症性物質を撒き散らす「老化細胞(ゾンビ細胞)」を選択的に死滅・除去する薬効群。薬(ダサチニブ等)と組み合わせることで発揮される「広範な老化細胞の除去(D+Q療法)」にあります。
1. ダサチニブとの相乗効果(D+Q療法)の発見1 Zhu 2015 Aging Cellで、老化細胞が生き延びるための防御システム(SCAPs)には複数の経路があり、ダサチニブがEphrin依存性経路を阻害するのに対し、ケルセチンはPI3K/AKT経路・HIF-1α等を阻害することが示されました1。この2つを併用(D+Q)することで脂肪細胞・内皮細胞など多様な組織の老化細胞を効率的に除去できることが2015年に発見され、「セノリティクス加齢により体内に蓄積し、周囲に炎症性物質を撒き散らす「老化細胞(ゾンビ細胞)」を選択的に死滅・除去する薬効群。」という新しい治療カテゴリーを生み出した記念碑的論文です。
2. ヒトでの老化細胞減少を初実証(糖尿病腎症)2 Hickson 2019 EBioMedicineで、糖尿病性腎症患者にD+Q(ダサチニブ100mg + ケルセチン1000mg)を3日間連続投与しただけで、わずか11日後に脂肪組織内の老化細胞マーカー(p16・p21)が有意に減少することが世界で初めてヒトで証明されました2。「老化細胞をヒトで実際に減らせる」ことを示したマイルストーン論文。
3. 特発性肺線維症(IPF)へのD+Q臨床試験35 Justice 2019 EBioMedicineで、IPF患者へのD+Qのオープンラベルパイロット試験(N=14)で歩行距離・身体機能の有意な改善が確認されました3。さらにNambiar 2023 EBioMedicineで、より厳密なプラセボ対照Phase 1試験が実施され、D+Q療法の安全性・忍容性が確立されました5。
4. 軽度アルツハイマー病へのD+Q Phase 14 Gonzales 2023 Nature Medicineで、軽度アルツハイマー病患者へのD+Q療法のPhase 1試験が実施され、薬剤が血液脳関門(BBB)を通過して脳内に到達し、脳脊髄液中のSASP因子・アミロイドβ関連バイオマーカーを変化させることが確認されました4。神経変性疾患へのセノリティクス加齢により体内に蓄積し、周囲に炎症性物質を撒き散らす「老化細胞(ゾンビ細胞)」を選択的に死滅・除去する薬効群。応用の道を開く重要試験。
5. ケルセチン単独使用の限界 ケルセチン単独では、D+Q療法のような強力なセノリティック効果は期待できない点に注意が必要です。臨床的に確立された老化細胞除去効果は「ダサチニブとの併用」が前提です。ダサチニブは処方薬(白血病治療薬)で日本では長寿目的の処方は困難なため、ケルセチン単独では「抗酸化・抗炎症補助」程度の位置付けが現実的。フィセチンの方が単独セノリティクス加齢により体内に蓄積し、周囲に炎症性物質を撒き散らす「老化細胞(ゾンビ細胞)」を選択的に死滅・除去する薬効群。効果は強いとされます(Yousefzadeh 2018)。
Evidence
科学的根拠(エビデンス・論文等)
The Achilles' heel of senescent cells: from transcriptome to senolytic drugs
概要ケルセチン単体では内皮細胞の老化を防ぎ、ダサチニブとの併用(D+Q)によって広範な老化細胞の除去が可能になる世界初のセノリティクス療法を発見。
Senolytics decrease senescent cells in humans: Preliminary report from a clinical trial of Dasatinib plus Quercetin in individuals with diabetic kidney disease
概要人間の患者に対してダサチニブとケルセチン(D+Q)を投与した結果、わずか11日間で脂肪組織中の老化細胞が有意に減少することを実証した。
Senolytics in idiopathic pulmonary fibrosis: Results from a first-in-human, open-label, pilot study.
概要特発性肺線維症(IPF)の患者に対する世界初のセノリティクス(D+Q)臨床試験。歩行距離や身体機能の有意な改善が確認された。
Senolytic therapy in mild Alzheimer's disease: a phase 1 feasibility trial.
概要軽度アルツハイマー病患者に対するD+Qの世界初のフェーズ1試験。薬剤が血液脳関門(BBB)を通過して脳内に到達し、脳脊髄液中のSASP因子やアミロイドβ関連バイオマーカーを実際に変化させることを証明した。
Senolytics dasatinib and quercetin in idiopathic pulmonary fibrosis: results of a phase I, single-blind, single-center, randomized, placebo-controlled pilot trial on feasibility and tolerability.
概要特発性肺線維症(IPF)患者に対するプラセボ対照フェーズ1試験。2019年のパイロット試験をさらに厳密にしたもので、D+Q療法の高い安全性(忍容性)が確認され、本格的なフェーズ2への道を開いた。
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