Ingredient · 成分マスタ
NAC(N-アセチルシステイン)
アミノ酸の一種であるL-システインのN-アセチル誘導体です。医療現場ではアセトアミノフェン中毒の解毒剤や粘液溶解薬として使用されてきました。体内で最も豊富に存在する内因性抗酸化物質「グルタチオン」の合成における律速アミノ酸(システイン)を供給します。近年はグリシンと組み合わせた「GlyNAC」としての臨床研究が進んでいます。
Target Hallmarks
Mechanism
作用機序(メカニズム)
主要なメカニズムは、グルタチオン合成の促進と直接的な活性酸素種の消去です。
1. グルタチオンの生合成12 加齢とともに細胞内のグルタチオン濃度は低下します。NACは細胞内に容易に取り込まれた後、システインに変換され、グルタチオンの合成を促進することで細胞の酸化ストレス防御能力を回復させます1。
2. 老化のホールマークとGlyNACの臨床試験34 2023年に発表された高齢者を対象としたランダム化比較試験において、グリシンとNACを同時に摂取する(GlyNAC)介入により、グルタチオン欠乏の解消、ミトコンドリア機能障害の改善、炎症マーカーの低下、および身体機能(歩行速度など)の向上が確認されています3。また、パーキンソン病患者の脳内機能的接続の改善に関する2026年のRCTデータも報告されています4。
食品からの摂取目安とサプリの必要性(難易度:不可(サプリまたは処方薬))
N-アセチルシステイン(NAC)そのものは食品には含まれていません。原料となるアミノ酸(システイン)は肉類や大豆に豊富ですが、加齢による酵素活性の低下等により、食事からのシステインのみではグルタチオン合成が追いつかない場合があります。抗酸化機能の回復を目的とする場合は、NACそのものをサプリメント(海外)または処方薬として補給することが一般的です。
Evidence
科学的根拠(エビデンス・論文等)
Existing and potential therapeutic uses for N-acetylcysteine: the need for conversion to intracellular glutathione for antioxidant benefits.
概要NACが細胞内でグルタチオンに変換されることで初めて本来の強力な抗酸化作用を発揮するメカニズムを解説した総説。
Deficient synthesis of glutathione underlies oxidative stress in aging and can be corrected by dietary cysteine and glycine supplementation.
概要高齢者におけるグルタチオン合成能力の低下が酸化ストレスの原因であり、NACとグリシンの補給によってそれが完全に回復することを証明した臨床試験。
Supplementing Glycine and N-Acetylcysteine (GlyNAC) in Older Adults Improves Glutathione Deficiency, Oxidative Stress, Mitochondrial Dysfunction, Inflammation, Physical Function, and Aging Hallmarks: A Randomized Clinical Trial.
概要高齢者を対象とした2023年のRCT。GlyNAC(グリシン+NAC)の摂取が、ミトコンドリア機能や複数の老化のホールマークを有意に改善し、歩行速度などを向上させた。
N-Acetylcysteine is associated with changes in functional connectivity in patients with Parkinson's disease.
概要2026年のRCT。パーキンソン病患者に対するNACの投与が、脳内の機能的接続性(神経ネットワーク)に有益な変化をもたらすことをfMRIで確認した。
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