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AutoPhagyGO×電通「オートファジー・リブースト」とは【XPRIZE Healthspan 日本代表チームを解説】

$101MのXPRIZE Healthspanで日本からTop40入りした「AutoPhagyGO×Curations×電通」連合。大隅良典→吉森保のオートファジー研究の系譜を背景に、栄養・サプリ・運動・睡眠の4本柱でオートファジーを“リブースト”し、加齢で衰える機能の若返りを狙う「Autophagy Reboost Program」を解説。オートファジーの種類・カロリー制限/運動との関連・オートファジー認証マーク・Retro Biosciences等の世界の動きまで、期待と限界の両面から正直に整理します。

WSN. 私たちは、死なない。 編集部·公開: 2026年6月28日·最終更新: 2026年6月28日

最終更新: 2026年6月 / 監修: WSN. 私たちは、死なない。 編集部

Autophagy Reboost Programの4本柱(栄養・サプリ・運動・睡眠)でオートファジーを活性化し、加齢で衰える機能の若返りを狙う図。
「Autophagy Reboost Program」は、栄養・サプリ・運動・睡眠の4本柱でオートファジー(細胞の自己浄化)を刺激し、機能の若返りを狙う。効果は臨床試験で検証される段階。

結論(30秒で読める要約)

  • AutoPhagyGO×Curations×電通の日本連合は、$101MのXPRIZE Healthspanで準決勝Top100入り、さらにマイルストーン1のTop40(各$250,000)に選出された日本代表級チームです12
  • 提案は 「Autophagy Reboost Program」。**オートファジー(細胞が不要なタンパク質や古いミトコンドリアを分解・再利用する“自己浄化”機能)**を、栄養・サプリメント・運動・睡眠の4本柱で活性化し、加齢で衰える機能の若返りを狙います1
  • 中核は大阪大学発のスタートアップ AutoPhagyGO(2019年設立)。吉森保 特任教授(オートファジー研究で2016年ノーベル賞の大隅良典博士と共に研究してきた第一人者)が研究を率い、オートファジー活性を測る技術を持つのが強みです13
  • オートファジーにはマクロ/ミクロ/CMA、選択的なマイトファジーなど複数の種類があり、「どの種類が、どの老化指標に効くか」はまだ未解明な部分が多い——ここは正直な現在地です。
  • 関連する動きとして、国内では日本オートファジーコンソーシアムの「オートファジー認証マーク」4、世界ではサム・アルトマンが出資するRetro Biosciences(オートファジーを3本柱の一つに)5など、研究と産業の両面で熱が高まっています。
  • ただし、「オートファジーを高めれば1年で10年分若返る」はヒトで実証されていません。本記事は取り組みの整理であり、特定のプログラム・製品の効果や安全性を保証するものではありません。

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1. どんなチームか ─ 3社の役割

「Autophagy Reboost Program」は、性格の異なる3社の連合で動いています1

  • AutoPhagyGO Inc.(大阪・吹田)大阪大学発のスタートアップ(2019年設立)。吉森保 特任教授の研究をもとに、オートファジーの創薬・ヘルスケア応用を進めます。オートファジー活性の測定技術を核に、プログラムの監修・評価・臨床実装を担当。CEOは石堂美和子氏。
  • Curations Inc.(東京・渋谷):パーソナル健康プラットフォーム 「SmartAge Dashboard」 を開発。デジタルツールとデータ基盤づくりを担当。
  • 電通:プログラムの設計・体験デザイン・広報・パートナー連携・事業開発を担当。

研究の“正統性”(大阪大学・吉森研)、データ基盤(Curations)、社会実装と発信力(電通)を組み合わせた布陣で、科学とビジネス実装の両輪を意識した構成になっています。賛同する事業会社(製薬・食品・歯科など)も複数参加しています1


2. そもそもオートファジーとは ─ まず動画で、そして“奥行き”

オートファジー(自食作用)は、細胞が自分の中の不要・劣化した部品(タンパク質や古いミトコンドリアなど)を分解して再利用する“自己浄化・リサイクル”の仕組みです。まずは短い解説動画でイメージをつかんでください。

オートファジーは“一枚岩”ではない

ひとくちにオートファジーと言っても、実は複数の種類があります。

  • マクロオートファジー:いわゆる「オートファジー」。膜で包んで丸ごと分解する主役。
  • ミクロオートファジー:リソソーム膜が直接くびり取って分解する経路。
  • CMA(シャペロン介在性オートファジー):目印のついた特定のタンパク質を選んで運び込む経路。
  • 選択的オートファジー:標的を選んで処理するタイプ。代表が**マイトファジー(傷んだミトコンドリアの選別分解)**で、ほかにも小胞体・タンパク質凝集体・病原体などを狙うものがあります。

ここが正直に重要な点です。「どの種類のオートファジーが、どの臓器の・どの老化指標に効くのか」は、まだ分かっていないことが多い。たとえばマイトファジーはウロリチンAなどで注目されますが(→ウロリチンAの選び方)、「オートファジー全体を上げれば健康になる」と単純化できるほど話は単純ではありません。だからこそ、AutoPhagyGOの**“測る技術”**が意味を持ちます。


3. 「Autophagy Reboost Program」の4本柱

オートファジーは加齢とともに働きが鈍ると考えられており、これを生活全体から底上げしよう、というのがこのプログラムの発想です。具体的には4つの介入の柱でオートファジーの活性化を狙います1

  1. 栄養:摂取カロリー・栄養バランス・食事のタイミングの調整(空腹の時間を作る等)
  2. サプリメント:オートファジーを活性化する性質を持つ成分の摂取
  3. 運動:定期的な有酸素運動
  4. 睡眠:1日最低7時間の睡眠

なぜ「栄養(断食)」と「運動」が柱なのか

この2本柱には機序的な裏づけがあります。カロリー制限・絶食(空腹)は、エネルギー不足センサーAMPKを活性化し成長シグナルmTORを抑えることで、オートファジーを誘導する——これは古くから知られた経路です。**運動(とくに有酸素運動)**も、マウスでオートファジーを誘導することが示されました(He ら, Nature 2012)6。つまり「断食」と「運動」は、オートファジーを高める二大スイッチとして理にかなっています。

ただし、ヒトで**「どの組織で・どれだけ・どの種類の」オートファジーが上がったかを正確に測るのは難しく、「生活改善を超える"リブースト"の上乗せ効果」があるかは、これからの臨床試験で問われます。薬の単独投与ではなく生活習慣の束(バンドル)で攻める**のが、このプログラムの特徴です1


4. オートファジー認証マークと「日本オートファジーコンソーシアム」

日本にはオートファジーを軸にした産学の枠組みもあります。一般社団法人 日本オートファジーコンソーシアム吉森保 教授が代表理事、2020年設立)は、研究と産業活用を橋渡しし、「オートファジー認証マーク」を運用しています4。これは、定めた品質基準を満たす(=オートファジーを活性化すると評価された)原料を含む製品に付けられる目印です。実際に、ザクロ由来ウロリチンA素材やピクノジェノールなどが認証を取得しています4

ここはWSNとして正直に補足します。この認証マークが意味するのは「その原料がオートファジーを活性化する(細胞・分析レベルの評価)」までで、「ヒトで若返り・健康効果が証明された」ことではありません。また、コンソーシアムの代表理事(吉森教授)はAutoPhagyGOの科学も率いており、認証や原料評価に関わる企業・AutoPhagyGOの賛同企業には重複もあります。研究と商業が地続きのエコシステムである点は、頭の片隅に置いて読むのが健全です。


5. 世界の“オートファジー×長寿”プレイヤー

オートファジーに賭けているのはAutoPhagyGOだけではありません。世界で最も注目されるのが、Retro BiosciencesOpenAIのサム・アルトマンが個人で約$180M(180億円超)を出資したことで知られ、「細胞リプログラミング・オートファジー・血漿(プラズマ)由来の治療」を3本柱に、健康寿命を10年延ばすことを掲げています5。2025年末にオーストラリアで初のヒト臨床を始める計画とも報じられています。

つまり、「オートファジーを若返りの突破口に」という発想は、日本のアカデミア発スタートアップ(AutoPhagyGO)から、米国の巨額マネー(Retro)まで世界的なうねりになっています。アプローチは、AutoPhagyGOが生活習慣で誰でも実践できる方向、Retroが創薬・先端バイオの方向と対照的なのが面白いところです(リプログラミングの基礎はこちら)。


6. なぜ注目なのか

  • オートファジー研究の“本場”:日本は、大隅良典博士の2016年ノーベル生理学・医学賞(オートファジーの仕組みの発見)に象徴される、この分野の世界的中心地です3。その系譜に連なる吉森保 教授が科学を率いる点は、国際コンペでの説得力になります。
  • “測れる”ことを重視:多くの長寿介入が「効いた気がする」で終わりがちな中、オートファジー活性を測る技術を持ち込み、介入の効果を数値で追おうとしている点は、XPRIZEが求める「客観評価」と相性が良い。
  • アクセシブルな設計:高価な薬や遺伝子治療ではなく、食事・運動・睡眠・サプリという誰もが実践しうる要素で構成されている点は、XPRIZEが掲げる「予防的で手の届く介入」という理念に沿っています。

7. WSN編集部の見方 ─ 期待と、正直な限界

応援したいチームであることは前提として、誇張せず線を引いておきます。

  • 「オートファジーを高める=1年で10年若返る」は未実証です。オートファジーが老化に関わること自体はホールマークの一項目としても整理されていますが、ヒトで“機能年齢を10年戻す”ことを示したわけではありません。それを問うのが、これからの臨床試験です。
  • オートファジーの種類と役割は未解明が多い。前述のとおり、どの種類がどの老化指標に効くかは研究途上。「上げれば良い」と単純化はできません。
  • 4本柱は、各々はすでに“良い習慣”です。間欠的断食・有酸素運動・十分な睡眠は、それぞれ健康への利点が知られています。問題は、それらを束ねた“リブースト”が単なる生活改善を超える上乗せ効果を出せるか。データ待ちです。
  • 認証マーク・企業連合には商業的な動機も伴う。受賞・認証・話題性は、そのまま「ヒトでの効果の証明」ではありません。

要するに——方向性は理にかなっており、日本の強みを活かした筋の良い挑戦。ただし真価は2026年以降の臨床データで決まります。WSNは煽らず、結果を正直に追います。


8. 今後の流れ

  • 2026年:提案を評価する臨床試験。
  • 2026年7月:XPRIZE全体で決勝10チームを発表。ここに残れるかが最初の関門。
  • 2026〜2029年:(決勝に残れば)本格的な臨床試験。
  • 2030年:最終評価・グランプリ。

日本勢がどこまで決勝に食い込むか——その最前線を、本記事とハブ記事で追っていきます。


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参考文献(主要なものを抜粋)

1. AutoPhagyGO・Curations・電通. 「AutoPhagyGO、キュレーションズ、電通が『XPRIZE Healthspan』コンペティションで準決勝に進出」/ The 'Autophagy Reboost Program'. 電通 ニュースリリース. 2025年5月13日.(3社の役割、4本柱〔栄養・サプリ・運動・睡眠〕、Top40マイルストーン受賞、AutoPhagyGO会社概要=2019年設立・大阪大学発・吉森保特任教授、スケジュール)

2. XPRIZE Foundation. $101M XPRIZE Healthspan Awards First Milestone Winners / Qualified Teams Book 2025. 2025年5月.(600超チーム/58カ国→Top100準決勝→Top40マイルストーン1〔各$250k〕。AutoPhagyGO(大阪)を含む)

3. The Nobel Assembly at Karolinska Institutet. The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2016 — Yoshinori Ohsumi.(オートファジーの仕組みの発見に対するノーベル賞。日本のオートファジー研究の系譜の起点)

4. 一般社団法人 日本オートファジーコンソーシアム. オートファジー表示ガイドライン/オートファジー認証マーク.(吉森保教授を代表理事として2020年設立。品質基準適合原料を含む製品に認証マークを付与。ウロリチンA素材・ピクノジェノール等が取得)

5. Regalado A. Sam Altman invested $180 million into a company trying to delay death. MIT Technology Review. 2023年3月.(Retro Biosciences。リプログラミング・オートファジー・血漿の3本柱で健康寿命+10年を目標)

6. He C, et al. Exercise-induced BCL2-regulated autophagy is required for muscle glucose homeostasis. Nature. 2012;481(7382):511-515.(運動がオートファジーを誘導することを示した代表的研究。カロリー制限・絶食はAMPK活性化/mTOR抑制を介してオートファジーを誘導する)


編集方針・免責事項

  • 本記事は、公開情報(企業の公式発表・XPRIZE公式・学術情報)をもとに取り組みを整理したもので、特定のプログラム・製品・成分・認証の効果や安全性、受賞の確実性を保証するものではありません。
  • 「Autophagy Reboost Program」の有効性は臨床試験で検証される段階であり、ヒトでの機能若返りが実証されたことを意味しません。「オートファジー認証マーク」は原料の活性評価であり、ヒトでの健康・若返り効果の証明ではありません。
  • 個別の食事・運動・サプリ・睡眠の介入の適否は、年齢・既往症・服薬により異なります。持病・服薬のある方は、自己判断せず医療者にご相談ください。
  • 情報は最終更新時点のものです。チーム構成・選考状況・日程・各社の動向は今後変動します。最新情報は各社公式・XPRIZE公式をご確認ください。

この記事は WSN. 私たちは、死なない。 編集部により2026年6月に作成・公開されました。XPRIZE Healthspanの進行に合わせて随時更新します。

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