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AutoPhagyGO×電通「オートファジー・リブースト」とは【XPRIZE Healthspan 日本代表チームを解説】

WSN. 私たちは、死なない。 編集部·公開: 2026年7月1日·最終更新: 2026年7月1日

最終更新: 2026年7月 / 監修: WSN. 私たちは、死なない。 編集部

メイ
メイ電通も入った日本チームがXPRIZEでTop40…オートファジーで若返るんですか?
トキ
トキ「AutoPhagyGO×Curations×電通」連合です。大隅良典→吉森保の研究系譜を背景に、栄養・サプリ・運動・睡眠の4本柱でオートファジーを“リブースト”する狙いです。
デバ
デバふぉっふぉ。賞金1億ドル超コンペのTop40入り、という挑戦の段階じゃぞ。効果が証明された話ではない。
トキ
トキ期待と限界の両面から、世界の動きも含めて整理します。
Autophagy Reboost Programの4本柱(栄養・サプリ・運動・睡眠)でオートファジーを活性化し、加齢で衰える機能の若返りを狙う図。
「Autophagy Reboost Program」は、栄養・サプリ・運動・睡眠の4本柱でオートファジー(細胞の自己浄化)を刺激し、機能の若返りを狙う。効果は臨床試験で検証される段階。

1. どんなチームか ─ 3社の役割

「Autophagy Reboost Program」は、性格の異なる3社の連合で動いています1

  • AutoPhagyGO Inc.(大阪・吹田)大阪大学発のスタートアップ(2019年設立)。吉森保 特任教授の研究をもとに、オートファジーの創薬・ヘルスケア応用を進めます。オートファジー活性の測定技術を核に、プログラムの監修・評価・臨床実装を担当。CEOは石堂美和子氏。
  • Curations Inc.(東京・渋谷):パーソナル健康プラットフォーム 「SmartAge Dashboard」 を開発。デジタルツールとデータ基盤づくりを担当。
  • 電通:プログラムの設計・体験デザイン・広報・パートナー連携・事業開発を担当。

研究の“正統性”(大阪大学・吉森研)、データ基盤(Curations)、社会実装と発信力(電通)を組み合わせた布陣で、科学とビジネス実装の両輪を意識した構成になっています。賛同する事業会社(製薬・食品・歯科など)も複数参加しています1


2. そもそもオートファジーとは ─ まず動画で、そして“奥行き”

オートファジー(自食作用)は、細胞が自分の中の不要・劣化した部品(タンパク質や古いミトコンドリアなど)を分解して再利用する“自己浄化・リサイクル”の仕組みです。まずは短い解説動画でイメージをつかんでください。

オートファジーは“一枚岩”ではない

ひとくちにオートファジーと言っても、実は複数の種類があります。

  • マクロオートファジー:いわゆる「オートファジー」。膜で包んで丸ごと分解する主役。
  • ミクロオートファジー:リソソーム膜が直接くびり取って分解する経路。
  • CMA(シャペロン介在性オートファジー):目印のついた特定のタンパク質を選んで運び込む経路。
  • 選択的オートファジー:標的を選んで処理するタイプ。代表が**マイトファジー(傷んだミトコンドリアの選別分解)**で、ほかにも小胞体・タンパク質凝集体・病原体などを狙うものがあります。

ここが正直に重要な点です。「どの種類のオートファジーが、どの臓器の・どの老化指標に効くのか」は、まだ分かっていないことが多い。たとえばマイトファジーはウロリチンAなどで注目されますが(→ウロリチンAの選び方)、「オートファジー全体を上げれば健康になる」と単純化できるほど話は単純ではありません。だからこそ、AutoPhagyGOの**“測る技術”**が意味を持ちます。


3. 「Autophagy Reboost Program」の4本柱

オートファジーは加齢とともに働きが鈍ると考えられており、これを生活全体から底上げしよう、というのがこのプログラムの発想です。具体的には4つの介入の柱でオートファジーの活性化を狙います1

  1. 栄養:摂取カロリー・栄養バランス・食事のタイミングの調整(空腹の時間を作る等)
  2. サプリメント:オートファジーを活性化する性質を持つ成分の摂取
  3. 運動:定期的な有酸素運動
  4. 睡眠:1日最低7時間の睡眠

なぜ「栄養(断食)」と「運動」が柱なのか

この2本柱には機序的な裏づけがあります。カロリー制限・絶食(空腹)は、エネルギー不足センサーAMPKを活性化し成長シグナルmTORを抑えることで、オートファジーを誘導する——これは古くから知られた経路です。**運動(とくに有酸素運動)**も、マウスでオートファジーを誘導することが示されました(He ら, Nature 2012)6。つまり「断食」と「運動」は、オートファジーを高める二大スイッチとして理にかなっています。

ただし、ヒトで**「どの組織で・どれだけ・どの種類の」オートファジーが上がったかを正確に測るのは難しく、「生活改善を超える"リブースト"の上乗せ効果」があるかは、これからの臨床試験で問われます。薬の単独投与ではなく生活習慣の束(バンドル)で攻める**のが、このプログラムの特徴です1


4. オートファジー認証マークと「日本オートファジーコンソーシアム」

日本にはオートファジーを軸にした産学の枠組みもあります。一般社団法人 日本オートファジーコンソーシアム吉森保 教授が代表理事、2020年設立)は、研究と産業活用を橋渡しし、「オートファジー認証マーク」を運用しています4。これは、定めた品質基準を満たす(=オートファジーを活性化すると評価された)原料を含む製品に付けられる目印です。実際に、ザクロ由来ウロリチンA素材やピクノジェノールなどが認証を取得しています4

ここはWSNとして正直に補足します。この認証マークが意味するのは「その原料がオートファジーを活性化する(細胞・分析レベルの評価)」までで、「ヒトで若返り・健康効果が証明された」ことではありません。また、コンソーシアムの代表理事(吉森教授)はAutoPhagyGOの科学も率いており、認証や原料評価に関わる企業・AutoPhagyGOの賛同企業には重複もあります。研究と商業が地続きのエコシステムである点は、頭の片隅に置いて読むのが健全です。


5. 世界の“オートファジー×長寿”プレイヤー

オートファジーに賭けているのはAutoPhagyGOだけではありません。世界で最も注目されるのが、Retro BiosciencesOpenAIのサム・アルトマンが個人で約$180M(180億円超)を出資したことで知られ、「細胞リプログラミング・オートファジー・血漿(プラズマ)由来の治療」を3本柱に、健康寿命を10年延ばすことを掲げています5。2025年末にオーストラリアで初のヒト臨床を始める計画とも報じられています(血漿アプローチの詳しい検証は → 「若い血」で若返る?)。

つまり、「オートファジーを若返りの突破口に」という発想は、日本のアカデミア発スタートアップ(AutoPhagyGO)から、米国の巨額マネー(Retro)まで世界的なうねりになっています。アプローチは、AutoPhagyGOが生活習慣で誰でも実践できる方向、Retroが創薬・先端バイオの方向と対照的なのが面白いところです (リプログラミングの基礎はこちら)。


6. WSN編集部の見方 ─ 期待と、正直な限界

  • 科学的な土台はたしか。オートファジーが細胞の若さの維持に関わること、断食・運動でオートファジーが誘導されることは、基礎研究で繰り返し示されています6。大隅→吉森という世界トップクラスの系譜が背景にあるのも心強い点です。
  • ただし「4本柱で1年に10年分若返る」はヒト未実証。栄養・運動・睡眠はそれぞれ健康によい習慣ですが、それらを束ねた“リブースト”が、良い生活習慣の寄せ集めを超える上乗せ効果を出すか——それを問うのが、これからの臨床試験です。
  • “測る技術”が鍵になり、同時に難所でもある。ヒトで「どの組織の・どの種類のオートファジーが・どれだけ上がったか」を確実に測れるかが、このチームの真価を決めます。
  • 研究と商業が地続きである点は割り引いて読むのが健全です。認証マーク・賛同企業・サプリ市場とつながるため、「話題・受賞」と「ヒトでの実証」は分けて評価すべきです。

要するに——日本のオートファジー研究の蓄積を、生活習慣という誰でも届く形に落とし込む、筋の良い挑戦。ただし価値が確定するのは臨床データが出てからです。WSNは煽らず、結果を正直に追います。


7. 今後の流れ

  • 2026年:準決勝チームによる臨床試験の設計・実施。
  • 2026年7月:XPRIZE全体で決勝10チームを発表。
  • 2026〜2029年:(決勝に残れば)本格的な臨床試験でオートファジー・機能指標を検証。
  • 2030年:最終評価・グランプリ。

「生活習慣でオートファジーを底上げする」モデルがどこまでヒトのデータを出せるか——ハブ記事とともに追っていきます。


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まとめ ─ 30秒でおさらい

  • AutoPhagyGO×Curations×電通の日本連合は、$101MのXPRIZE Healthspanで準決勝Top100入り、さらにマイルストーン1のTop40(各$250,000)に選出された日本代表級チームです12
  • 提案は 「Autophagy Reboost Program」。**オートファジー(細胞が不要なタンパク質や古いミトコンドリアを分解・再利用する“自己浄化”機能)**を、栄養・サプリメント・運動・睡眠の4本柱で活性化し、加齢で衰える機能の若返りを狙います1
  • 中核は大阪大学発のスタートアップ AutoPhagyGO(2019年設立)。吉森保 特任教授(オートファジー研究で2016年ノーベル賞の大隅良典博士と共に研究してきた第一人者)が研究を率い、オートファジー活性を測る技術を持つのが強みです13
  • オートファジーにはマクロ/ミクロ/CMA、選択的なマイトファジーなど複数の種類があり、「どの種類が、どの老化指標に効くか」はまだ未解明な部分が多い——ここは正直な現在地です。
  • 関連する動きとして、国内では日本オートファジーコンソーシアムの「オートファジー認証マーク」4、世界ではサム・アルトマンが出資するRetro Biosciences(オートファジーを3本柱の一つに)5など、研究と産業の両面で熱が高まっています。
  • ただし、「オートファジーを高めれば1年で10年分若返る」はヒトで実証されていません。本記事は取り組みの整理であり、特定のプログラム・製品の効果や安全性を保証するものではありません。

▼ あわせて読む

参考文献(主要なものを抜粋)

1. AutoPhagyGO Inc./株式会社Curations/電通. AutoPhagyGO・Curations・電通連合「Autophagy Reboost Program」がXPRIZE Healthspanに挑戦(各社プレスリリース). 2025年.(3社の役割、4本柱〔栄養・サプリ・運動・睡眠〕、賛同企業、CEO石堂美和子、大阪大学・吉森研の監修)

2. XPRIZE Foundation. $101M XPRIZE Healthspan Awards First Milestone Winners / Qualified Teams Book 2025. 2025年5月.(準決勝Top100→マイルストーン1のTop40〔各$250,000〕。AutoPhagyGO(大阪)を含む日本勢)

3. 大阪大学/AutoPhagyGO. 吉森保 特任教授とオートファジー研究(大隅良典博士〔2016年ノーベル生理学・医学賞〕との系譜、オートファジー活性の測定技術).(会社・大学の公開情報)

4. 一般社団法人 日本オートファジーコンソーシアム. オートファジー認証マーク/認証原料一覧(代表理事 吉森保、2020年設立。ウロリチンA素材・ピクノジェノール等の認証).

5. Regalado A. Sam Altman invested $180 million into a company trying to delay death. MIT Technology Review. 2023年3月.(Retro Biosciences。細胞リプログラミング・オートファジー・血漿由来治療の3本柱で健康寿命+10年を目標)

6. He C, et al. Exercise-induced BCL2-regulated autophagy is required for muscle glucose homeostasis. Nature. 2012;481(7382):511-515.(運動がマウスの骨格筋・心筋でオートファジーを誘導することを示した代表的研究)


編集方針・免責事項

  • 本記事は、公開情報(各社の公式発表・XPRIZE公式・学術情報)をもとに取り組みを整理したもので、特定のプログラム・製品・成分の有効性や安全性、受賞・事業の見通しを保証するものではありません。
  • 「Autophagy Reboost Program」の効果は臨床試験で検証される段階であり、ヒトでの機能若返りが実証されたことを意味しません。オートファジーの種類と老化指標の対応関係には未解明の部分が多く残ります。
  • 「オートファジー認証マーク」は原料の活性評価であり、ヒトでの健康効果の証明ではありません。認証・原料評価に関わる企業と本チームの賛同企業には重複がある点にご留意ください。
  • 個別の食事・運動・サプリメント・睡眠習慣の適否は、年齢・既往症・服薬により異なります。持病・服薬のある方は自己判断せず医療者にご相談ください。
  • 情報は最終更新時点のものです。選考状況・チーム構成・提携は今後変動します。最新情報は各社公式・XPRIZE公式をご確認ください。

この記事は WSN. 私たちは、死なない。 編集部により2026年7月に作成・公開されました。XPRIZE Healthspanの進行に合わせて随時更新します。

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