Japan Longevity Consortium(順天堂・東大・阪大)とは【XPRIZE Healthspan 日本代表チームを解説】
$101MのXPRIZE HealthspanでTop40入りした日本の学術連合「Japan Longevity Consortium(JLC)」。順天堂大の堀江重郎教授が率い、東京大学・大阪大学が参画。生物学的年齢評価・和食ベースの時間健康食・自律神経・腸内環境・社会的な絆という「科学と伝統の融合」で身体機能の若返りを狙う取り組みを、期待と限界の両面から正直に解説します。
最終更新: 2026年7月 / 監修: WSN. 私たちは、死なない。 編集部
結論(30秒で読める要約)
- Japan Longevity Consortium(JLC)は、$101MのXPRIZE Healthspanで準決勝Top40(マイルストーン1/各$250,000相当)に選ばれた日本の学術連合チームです13。
- 代表は順天堂大学の堀江重郎 教授(創造長寿医学)。東京大学・大阪大学の研究者が参画し、運営を株式会社selgが担う、産学連携の布陣です12。
- 提案は**「科学と伝統の融合」。①生物学的年齢(Biomarkers of Aging)での加齢評価、②和食に基づく“時間健康食”、③自律神経を整える生活、④腸内環境の再構築、⑤社会的な絆**——を個別最適化して組み合わせ、認知力・免疫力・筋力の若返りを狙います12。
- 参画者には、老年医学・神経学・糖尿病内分泌・スポーツ医学などの専門家に加え、**オートファジー研究の吉森保 栄誉教授(大阪大学)**も名を連ねます(→AutoPhagyGO×電通の記事とも人脈が重なります)1。
- ただし、「和食や生活習慣の組み合わせで1年に10年分若返る」はヒトで実証されていません。各要素は健康によい習慣ですが、束ねた“上乗せ効果”は臨床試験で問われます。
- 本記事は取り組みの整理であり、特定のプログラムの効果や安全性を保証するものではありません。
▼ あわせて読む
- 全体像(ハブ) → XPRIZE Healthspanとは(完全ガイド)
- もう一つの日本勢 → AutoPhagyGO×電通「オートファジー・リブースト」
- 老化のしくみ → 老化の12のホールマーク
1. どんなチームか ─ 順天堂・東大・阪大の学際連合
JLCは、大学横断のアカデミアが核になっています1。
- 代表:堀江重郎 教授(順天堂大学大学院 創造長寿医学講座)
- 順天堂大学:服部信孝 特任教授(神経学)、綿田裕孝 教授(代謝内分泌)、田村好史 教授(スポーツ医学・スポートロジー)ほか
- 東京大学:小川純人 教授(老年病学)
- 大阪大学:吉森保 栄誉教授(オートファジー研究)
- 運営:株式会社selg(代表・新井拓郎)がプログラム運営を担当
創造長寿医学・泌尿器科学・神経学・糖尿病内分泌学・スポーツ医学・老年医学を統合した“学際的な健康プログラム”を設計する、というのが基本コンセプト。企業単独ではなく、複数大学の臨床・研究の厚みを前面に出しているのが特徴です。なお吉森保教授はAutoPhagyGOの科学も率いており、日本のオートファジー・長寿研究の“ハブ人物”として複数チームに関わっています。
2. アプローチ「科学と伝統の融合」 ─ 5つの要素
JLCの提案は、日本に蓄積された生活文化を、最先端の老化科学で“測りながら”最適化する、というものです。柱は5つ12。
- 生物学的年齢(Biomarkers of Aging)での加齢評価:見た目や暦年齢ではなく、指標で“今の老化度”を測り、介入の効果を追う。
- 和食に基づく“時間健康食”:和食の栄養設計に、いつ食べるか(時間栄養学)の視点を組み合わせる。
- 自律神経を整える生活様式:睡眠・ストレス・リズムを整える。
- 腸内環境の再構築:食物繊維・発酵食品などで腸内細菌叢を整える(栄養管理と一体で)。
- 社会的な絆(social connection):人とのつながりがもたらす健康効果を組み込む。
これらを一律ではなく個別最適化して組み合わせ、認知力・免疫力・筋力といった“身体機能の若返り”をめざす、という設計です。**「測って(biomarker)→ 生活を整えて → また測る」**というループを回そうとしている点がポイントです。
3. なぜ注目なのか
- アカデミアの総合力:単一の成分や薬ではなく、複数大学・複数診療科が束になって「健康プログラム」を設計する座組みは、臨床データの取りやすさ・信頼性の面で強みになります。
- 日本の“強み”を資源化:和食、時間栄養、腸内環境、そして社会的な絆——日本が長寿国として蓄積してきた文化・疫学の知見を、科学的に検証可能な形に落とし込もうとしています。
- “測る”ことを軸に:生物学的年齢という客観指標で効果を追う姿勢は、XPRIZEが求める評価とかみ合います。
- アクセシブル:高価な薬ではなく、多くの人が実践できる生活習慣中心である点も、コンペの理念(予防的で手の届く介入)に沿います。
4. WSN編集部の見方 ─ 期待と、正直な限界
- 「和食・生活習慣で1年に10年若返る」は未実証です。和食・時間栄養・腸内環境・社会的つながりは、それぞれ健康との関連が報告されていますが、束ねて“機能年齢を大きく戻す”ことをヒトで示したわけではありません。それを問うのが臨床試験です。
- 生物学的年齢(老化時計)の解釈には注意が必要です。指標によって結果がぶれることがあり、「時計が◯歳若返った=健康が◯年若返った」と単純に等号で結べるかは、まだ議論の途上です。
- AutoPhagyGOと課題は似ています。どちらも「生活習慣の束(バンドル)」型で、良い習慣の寄せ集めを超える上乗せ効果を出せるかがカギ。両チームに吉森保教授が関わる点も含め、日本の“生活習慣×測定”アプローチの試金石になります。
- 社会実装=商業の側面もあります。運営会社・パートナー募集など、事業としての動きも伴うため、「受賞・話題性」と「ヒトでの効果の証明」は分けて見るべきです。
要するに——日本の強みを科学で検証しようとする、筋の良い挑戦。ただし真価は2026年以降の臨床データ次第です。WSNは煽らず、結果を正直に追います。
5. 今後の流れ
- 2026年:提案を評価する臨床試験(各チーム)。
- 2026年7月:XPRIZE全体で決勝10チームを発表。
- 2026〜2029年:(決勝に残れば)本格的な臨床試験。
- 2030年:最終評価・グランプリ。
JLCが決勝に進めるか、そして「和食×科学」モデルがどこまでヒトのデータを出せるか——ハブ記事とともに追っていきます。
関連記事
- XPRIZE Healthspanとは(完全ガイド・ハブ)
- AutoPhagyGO×電通「オートファジー・リブースト」 — 吉森保教授つながりのもう一つの日本勢
- 老化の12のホールマーク — 腸内環境・細胞間コミュニケーションも項目
- 不老不死への挑戦マップ
参考文献(主要なものを抜粋)
1. 順天堂大学. 順天堂大学発の研究チームが「XPRIZE Healthspan」準決勝進出 ~世界40チームに日本から選出~. 順天堂大学 ニュース. 2025年5月29日.(代表:堀江重郎教授。東京大学・大阪大学と共同。参画者・5要素〔生物学的年齢評価・和食の時間健康食・自律神経・腸内環境・社会的絆〕)
2. Japan Longevity Consortium・株式会社selg. JLCおよびselg、XPRIZE Healthspanにおける世界上位40チームに選出. JLC プレスリリース. 2025年5月12日.(代表 堀江重郎、運営 selg。プロジェクトの主な特徴、パートナー募集)
3. XPRIZE Foundation. $101M XPRIZE Healthspan Awards First Milestone Winners / Qualified Teams Book 2025. 2025年5月.(600超チーム/58カ国→Top100準決勝→Top40マイルストーン1〔各$250k〕。JAPAN LONGEVITY CONSORTIUM(Tokyo)を含む)
編集方針・免責事項
- 本記事は、公開情報(大学・チームの公式発表・XPRIZE公式)をもとに取り組みを整理したもので、特定のプログラム・食事・生活習慣の効果や安全性、受賞の確実性を保証するものではありません。
- JLCのプログラムの有効性は臨床試験で検証される段階であり、ヒトでの機能若返りが実証されたことを意味しません。「生物学的年齢(老化時計)」の数値は解釈に注意が必要です。
- 個別の食事・運動・生活習慣の適否は、年齢・既往症・服薬により異なります。持病・服薬のある方は、自己判断せず医療者にご相談ください。
- 情報は最終更新時点のものです。チーム構成・選考状況・日程は今後変動します。最新情報は各大学・チーム公式、XPRIZE公式をご確認ください。
この記事は WSN. 私たちは、死なない。 編集部により2026年7月に作成・公開されました。XPRIZE Healthspanの進行に合わせて随時更新します。
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