何を食べ、どう調理すればAGEを抑えられるか ─ 量は減らせる、効果はまだ途中
最終更新: 2026年10月 / 監修: WSN. 私たちは、死なない。 編集部




1. 食品のAGEは「何を」より「どう加熱したか」で決まる
まず、食品に含まれるAGEの量がどう決まるのかを見ていきます。結論から言うと、食材の種類そのものより、加熱のしかたのほうが量を大きく左右します。
もっとも広く引用されているのは、2010年にマウントサイナイ医科大学のグループ(Uribarri ら)が発表した549品目の食品データベースです1。この研究では、代表的なAGEであるCML(カルボキシメチルリジン。タンパク質に糖がくっついてできる、測りやすい"目印"のAGE)を抗体で測り、「kU(キロユニット)」という単位で食品ごとに並べました。数字を見ると、加熱の影響がはっきりします。たとえば鶏肉100gあたりでは、生で約770、ゆでると約1,100、ローストで約6,000、油で揚げると約9,700 kUでした。牛肉でも、生の約640に対し、グリルで約6,700、油で焼くと約9,000 kU(90gあたり)と報告されています1。
一方で、野菜・果物・牛乳・穀物のような炭水化物中心の食品は、加熱してもAGEが少ない傾向がありました。野菜や果物は多くが100gあたり50 kU未満、無脂肪乳は250mLで数kUにすぎません。つまり、脂質とタンパク質が多い食品を、乾いた高温で加熱したときにAGEが跳ね上がる、というのがこのデータベースの要点です1。
ただし、ここで大事な線引きがあります。AGEの測り方が変わると、食品の順位も変わります。2016年にマーストリヒト大学のグループ(Scheijen ら)は、より精密な質量分析(LC-MS/MS。分子の重さで物質を直接見分ける測定法)で190品目を測り、別のデータベースを作りました2。こちらでは、AGEがもっとも多かったのは高温加工したナッツ・穀物製品と缶詰の肉で、もっとも少なかったのは果物・野菜・バター・コーヒーでした。抗体で測った2010年の表では、バターは重さあたりで最上位級に入っていたので、2つの表は一部で食い違っています。日本の食品を1,650品目調べた2015年の研究(Takeuchi ら)では、また別の抗体を使い、炭酸飲料・乳酸菌飲料・ドライフルーツ・スナック菓子にブドウ糖由来のAGEが多いと報告されました3。
ですから、個々の食品の「kU」を細かく数えて比べることには、あまり意味がありません。乾いた高温で加熱した脂質・タンパク質食品ほど多く、水を使う加熱や生の植物性食品ほど少ない、という"傾向"だけは、どの測り方でも一致しています。持ち帰るのは、順位表ではなくこの傾向です。
2. 台所でできること ─ 湿式・低温・短時間・酸マリネ
次に、調理の実践を整理します。データベース研究が示した「減らす方法」は、大きく4つにまとまります1。
- 湿式加熱(水を使う加熱)にします。 ゆでる・蒸す・煮る・スープにする調理は、焼く・揚げる・ローストする調理に比べて、AGEの生成を大きく抑えます。水があると温度が100℃前後にとどまり、AGEを作る反応(メイラード反応。糖とタンパク質が加熱で結びついて、こげ色と香りを作る反応です)が進みにくいためです。
- 温度を下げ、時間を短くします。 同じ「焼く」でも、高温で長く加熱するほどAGEは増えます。表面を強く焦がさず、中まで火が通る最小限の加熱にとどめることが、量を抑える方向に働きます。
- 酸に漬けてから加熱します。 2010年の研究では、牛肉をレモン汁または酢に1時間漬けてからローストすると、何もしない場合に比べてAGEの生成が半分以下になりました1。酸性の環境では、メイラード反応の初期段階が進みにくくなると考えられています。
- 脂質・タンパク質が多い食品の"こんがり"を減らします。 AGEが跳ね上がるのは、肉・加工肉・チーズ・油脂を乾いた高温で加熱したときです。野菜や穀物を焼いても増え方はずっと小さいので、気をつける優先順位は「肉や加工肉の高温調理」にあります。
もう一つ、知っておいてほしいことがあります。強い焦げには、AGEとは別の物質もできます。肉や魚を高温で焦がすとヘテロサイクリックアミン(肉の成分が高温で変化してできる物質)が、じゃがいもやパンなどを高温で加熱するとアクリルアミド(炭水化物食品を高温加熱したときにできる物質)ができることが知られています。これらはAGEとは別の理由で「焦がしすぎを避ける」ことが勧められている物質です。つまり、「焦げを減らす」という一つの習慣が、複数の面で役に立ちます。


3. 「減らすと体に良い」は証明されたのか ─ 短期RCTの現在地
ここからが本題です。調理で量を減らせることと、減らした結果として体が良くなることは、別の問いです。この第2の問いに答えるには、ランダム化比較試験(RCT。参加者をくじ引きで2群に分け、食事以外の条件をそろえて比べる試験)が必要です。
まず、確かに言えることを整理します。低AGE食にすると、血中のAGEは下がります。これは複数の試験で一致しており、2024年の糖尿病患者を対象にした系統的レビューでも、血中AGEを測った3試験すべてで低下が確認されています10。つまり、食べたAGEの一部が体に入り、食事を変えれば血中の値が動くことは、ヒトで確かめられています。
次に、「良い方向の報告」を見ます。2016年の二重盲検クロスオーバー試験(オーストラリア、20人の過体重の健康な成人、2週間ずつ)では、低AGE食の後に、クランプ法(インスリンを点滴しながら血糖を一定に保ち、インスリンの効きを直接測る、もっとも精密な方法)で測ったインスリン感受性が改善しました5。2024年のインドの試験(38人の過体重・肥満の成人、12週間のクロスオーバー)でも、低AGE食でβ細胞の働きの指標が改善し、血中AGEが下がりました11。そして2025年には、ベルギーのCell Reports Medicine に、まさに「調理法だけを変える」試験が報告されました4。健康な成人20人(完了18人)に、まったく同じ食材をゆでる・蒸すで調理した食事と、グリル・オーブン焼きで調理した食事を2週間ずつ提供したところ、低AGE調理の期間で血中のCMLとMG-H1(メチルグリオキサール由来の代表的なAGE)が下がり、脂質の指標も良い方向に動いたと報告されています。
複数の試験をまとめたメタ解析も、同じ方向を示しています。2017年のメタ解析(17試験・560人)では、低AGE食でインスリン抵抗性の指標(HOMA-IR)、総コレステロール、LDLコレステロール、炎症マーカー(TNF-α)、酸化ストレスの指標が低下しました8。2021年の別のメタ解析(13試験)でも、HOMA-IR、空腹時インスリン、総コレステロール、LDLで有意な改善が見られています9。
ところが、ここで線引きが必要です。もっとも規模が大きく、もっとも厳密な試験は「差なし」でした。2022年にマーストリヒト大学のグループが JCI Insight に発表した二重盲検RCT(Linkens ら)では、腹部肥満のある73人を低AGE食と高AGE食に分け、4週間続けました6。両群のAGE摂取量は、CMLで2.7倍、MG-H1で3.7倍の差がつき、血中・尿中のAGEもそれに応じて動いたことが確認されています。それでも、クランプ法で測ったインスリン感受性、インスリン分泌、血管機能、炎症、脂質のいずれにも、群間の差はありませんでした。研究者たちは「4週間の低AGE食・高AGE食の生物学的な影響は、ごく限られていた」と結論づけています。2014年の米国の試験(健康な50〜69歳、24人、6週間)でも、同じ食材を高温と穏やかな温度で調理した食事を比べ、血中CMLは低AGE群で下がったものの、血管内皮機能と炎症マーカーには差がありませんでした7。
この食い違いをどう読むべきでしょうか。まず、「良い方向」を示した試験の多くは、参加者が20〜40人と少なく、期間も2〜12週と短いものです。2017年のメタ解析の著者自身が、「含まれた試験の約半数は方法の質が低く、追跡が短く、死亡や糖尿病の発症といった臨床的な結果を見た試験は一つもない」と注意を書いています8。2024年の糖尿病患者の系統的レビューでも、炎症や酸化ストレスの指標は改善した一方、HbA1cは6試験すべてで変化なし、インスリン抵抗性も3試験すべてで変化なしでした10。2025年の調理法試験も、参加者が18人で、対照期間を置かない設計で、体重が平均1.8kg減ったことが結果に影響した可能性を著者が認めています4。
まとめると、「血中AGEは下がる」は確か、「炎症や脂質の指標が少し良くなる」は示唆、「インスリンの効きが良くなる」は試験によって割れており、「病気や寿命が変わる」はまだ誰も確かめていません。これが2026年時点の、短期RCTの現在地です。
4. 長い目で見るとどうか ─ コホートが言えること、言えないこと
では、何年も追いかけた観察研究(コホート研究。大勢の人の食事を記録し、その後の病気や死亡を追う研究)は、何を示しているのでしょうか。
2025年に欧州の栄養学誌に報告されたUKバイオバンク(英国の大規模コホート)の解析では、中央値12.2年の追跡で4,348人が冠動脈疾患を発症しました。AGE摂取量が上位3分の1の人は、下位3分の1に比べて冠動脈疾患のリスクが1.12倍で、遺伝的に心臓病になりやすい人では差がさらに広がりました12。これは「食事AGEが多いほど心臓病が増える方向」を示す、現時点でもっとも大きな観察データです。
一方で、同じ2025年に発表された死亡率のメタ解析(6つのコホート・111,543人)では、食事AGEの摂取量と、総死亡・心血管死・がん死のいずれにも有意な関連はありませんでした13。がんの発症についても、2024〜2025年のメタ解析で全体としての関連は見られていません。また、オランダのロッテルダム研究(2,515人)では、食事からのCML摂取量と皮膚にたまったAGE(皮膚AGE。第3回で扱った、肌の蛍光で測る指標です)の関連を調べましたが、全体では関連がなく、糖尿病も腎臓病もない人に限ってごくわずかな正の関連が見えただけでした14。
観察研究には、共通の弱点もあります。第一に、**食事AGEの摂取量は、食事記録をデータベースに当てはめた"推定値"**であり、第1節で見たとおりデータベース自体が測り方で食い違います。第二に、AGEが多い食事は、揚げ物・加工肉・菓子・清涼飲料が多い食事と重なりやすく、AGEそのものの影響と、食事の全体像の影響を切り分けにくいという問題があります。「AGEが多い人は心臓病が多い」が本当だとしても、原因がAGEなのか、揚げ物中心の食生活なのかは、観察研究では決められません。



5. 今日の線引き ─ 現実的な一歩と、やりすぎないための注意
整理します。確かなことは、食品のAGEの量は調理で大きく変わり、湿式加熱・低温・短時間・酸マリネで減らせること、そして低AGE食にすれば血中AGEが下がることです1410。示唆にとどまることは、炎症や脂質、インスリンの効きが少し良くなるかもしれないことです58911。まだ言えないことは、それが病気の予防や寿命の延びにつながるかどうかで、最も厳密な試験は差を示さず、長期の観察研究も結果が割れています671213。
2026年に米国腎臓学会の臨床誌に出た総説(Uribarri と Tuttle)も、「低AGE食は血中AGEと炎症マーカーを下げる」としつつ、「大規模なRCTが必要」と明記したうえで、調理法の工夫は既存の食事ガイドラインの方向と一致するので取り入れる価値がある、と位置づけています15。WSNの線引きも同じです。そのうえで、現実的な一歩を3つに絞ります。
- 土台は食事の全体像にあります。 野菜・果物・豆・全粒穀物・魚を中心にした食事は、それ自体がAGEの少ない食事であり、AGEとは関係なく健康に良い証拠がそろっています。2023年の16週間の試験では、低脂質の植物性中心の食事にするだけで、食事AGEの摂取量が1日あたり約8,800 kU減りました16。「AGEを数える」より、「何を中心に食べるか」を整えるほうが、結果として大きく減ります。
- 調理は「ゆでる・蒸す・煮るを増やし、焦げを減らす」で十分です。 肉や加工肉を高温で焼く・揚げる頻度を少し下げ、酸のマリネや低温調理を混ぜれば、量は確実に減ります。焼き魚や唐揚げを禁止する必要はありません。「毎日・毎食こんがり」を「ときどき」に動かすだけで、方向は変わります。
- 体の中でできるAGEを忘れないでください。 第2回で見たとおり、AGEの土台は血糖ルートです。食後の血糖を急に上げない食べ方、適度な運動、睡眠は、食事AGEを減らすこと以上に、AGEの蓄積に効く可能性があります。「焼き物を避けたから大丈夫」とはなりません。
最後に、やりすぎないための注意です。AGEを減らそうとして、タンパク質やエネルギーが不足するほど食事を制限するのは本末転倒です。とくに高齢の方や、糖尿病・腎臓病で食事療法を受けている方は、自己判断で食事を大きく変えず、医師や管理栄養士に相談してください。食品のAGE値を細かく数えるアプリや表は、データベース同士が食い違う以上、精密な道具ではありません。方向だけを持ち帰れば十分です。次回・最終回では、「AGEとどう付き合うか ─ サプリ・美容の宣伝を見抜く+現実的な一歩」を扱います。
WSNは、寿命(長く生きること)と健康寿命(元気でいられる期間)の両方の視点で、この先も「わかった/まだ言えない」を正直に線引きしていきます。
まとめ ─ 30秒でおさらい
- 食品のAGEは、食材より「どう加熱したか」で決まります。鶏肉100gで、ゆでると約1,100、ローストで約6,000、揚げると約9,700 kUと報告されています1。
- 湿式加熱・低温・短時間・酸マリネで生成を減らせます。レモン汁や酢に1時間漬けてから加熱すると、AGEは半分以下になりました1。
- ただし食品の数値は測り方で食い違います。2つの主要データベースはバターなどで順位が逆転しており、個々のkUを数えることに意味はありません12。
- 低AGE食で血中AGEが下がることは確かで、短期の小規模試験では脂質・炎症・インスリン感受性の改善も報告されています458。
- しかし最も厳密な73人・4週の二重盲検試験では差がなく6、長期の死亡率メタ解析でも関連はありませんでした13。病気や寿命への効果は未確定です。
- 現実解は、**野菜・魚・豆を中心にしたうえで、「ゆでる・蒸す・煮るを増やし、焦げを減らす」**ことです。極端な制限は不要で、土台は血糖管理(第2回)にあります。
関連記事
- AGEはどうやってたまるのか ─ 血糖・加熱・時間の3つの入口 — 特集第2回。食事AGEの吸収と、体内でできるAGEの話
- たまったAGEは「戻せる」のか ─ 分解・架橋切断の現在地 — 特集第5回。「これ以上作らない」が現実解である理由
- AGEは測れるのか ─ 皮膚AGE・血中CML・HbA1cの違い — 特集第3回。本記事で出てくる「血中CML」「皮膚AGE」の意味
参考文献(主要なものを抜粋)
1. データベース:Uribarri J, et al. Advanced glycation end products in foods and a practical guide to their reduction in the diet. J Am Diet Assoc 2010;110(6):911-916.e12. DOI: 10.1016/j.jada.2010.03.018. 549品目のCMLを抗体法(ELISA)で測り、kU/100gで示した食品データベースです。乾式高温加熱で生の10〜100倍に増えること、湿式加熱・低温・短時間・レモン汁や酢のマリネで生成が抑えられることを報告しています。
2. データベース:Scheijen JLJM, et al. Analysis of advanced glycation endproducts in selected food items by ultra-performance liquid chromatography tandem mass spectrometry: Presentation of a dietary AGE database. Food Chem 2016;190:1145-1150. DOI: 10.1016/j.foodchem.2015.06.049. 190品目のCML・CEL・MG-H1を質量分析で測った、より精密なデータベースです。高温加工したナッツ・穀物製品と缶詰の肉が最も多く、果物・野菜・バター・コーヒーが最も少ないと報告しています。
3. 研究:Takeuchi M, et al. Assessment of the concentrations of various advanced glycation end-products in beverages and foods that are commonly consumed in Japan. PLoS One 2015;10(3):e0118652. DOI: 10.1371/journal.pone.0118652. 日本で流通する1,650品目の飲料・食品を抗体法で調べ、炭酸飲料・乳酸菌飲料・ドライフルーツ・スナックにブドウ糖由来AGEが多いと報告しています。測定法が異なるため、文献1・2の数値とは直接比べられません。
4. RCT:Wellens J, et al. Cooking methods affect advanced glycation end products and lipid profiles: A randomized cross-over study in healthy subjects. Cell Rep Med 2025;6(5):102091. DOI: 10.1016/j.xcrm.2025.102091. 健康な成人20人(完了18人)に、同じ食材をゆでる・蒸すとグリル・オーブン焼きで調理した食事を2週間ずつ提供したクロスオーバー試験です。低AGE調理で血中CML・MG-H1が下がり、脂質が改善した一方、少人数・短期間・対照期間なし・体重減少の影響を著者が限界として挙げています。
5. RCT:de Courten B, et al. Diet low in advanced glycation end products increases insulin sensitivity in healthy overweight individuals: a double-blind, randomized, crossover trial. Am J Clin Nutr 2016;103(6):1426-1433. DOI: 10.3945/ajcn.115.125427. 過体重の健康な成人20人に高AGE食と低AGE食を2週間ずつ提供し、クランプ法で測ったインスリン感受性が低AGE食後に改善したと報告しています。
6. RCT:Linkens AMA, et al. A 4-week high-AGE diet does not impair glucose metabolism and vascular function in obese individuals. JCI Insight 2022;7(6):e156950. DOI: 10.1172/jci.insight.156950. 腹部肥満の73人を低AGE食と高AGE食に分けた4週間の二重盲検RCTで、摂取量に数倍の差があったにもかかわらず、クランプ法のインスリン感受性・インスリン分泌・血管機能・炎症・脂質のいずれにも差がなかったと報告しています。本テーマで最も規模が大きく厳密な試験です。
7. RCT:Semba RD, et al. Dietary intake of advanced glycation end products did not affect endothelial function and inflammation in healthy adults in a randomized controlled trial. J Nutr 2014;144(7):1037-1042. DOI: 10.3945/jn.113.189480. 健康な50〜69歳の24人に、同じ食材を高温と穏やかな温度で調理した食事を6週間提供し、血管内皮機能と炎症マーカーに差がなかったと報告しています。
8. メタ解析:Baye E, et al. Consumption of diets with low advanced glycation end products improves cardiometabolic parameters: meta-analysis of randomised controlled trials. Sci Rep 2017;7:2266. DOI: 10.1038/s41598-017-02268-0. 17のRCT・560人をまとめ、低AGE食でHOMA-IR・総コレステロール・LDL・TNF-α・酸化ストレス指標が低下した一方、体重・血糖・HbA1c・血圧は変わらず、試験の約半数は質が低く、臨床的な結果を見た試験はなかったと整理しています。
9. メタ解析:Sohouli MH, et al. The Impact of Low Advanced Glycation End Products Diet on Metabolic Risk Factors: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Adv Nutr 2021;12(3):766-776. DOI: 10.1093/advances/nmaa150. 13のRCTをまとめ、低AGE食でインスリン抵抗性・空腹時インスリン・総コレステロール・LDLが改善し、ほかのメタボリックシンドロームの要素には有意な変化がなかったと報告しています。
10. 系統的レビュー:Detopoulou P, et al. Dietary Restriction of Advanced Glycation End-Products (AGEs) in Patients with Diabetes: A Systematic Review of Randomized Controlled Trials. Int J Mol Sci 2024;25(21):11407. DOI: 10.3390/ijms252111407. 糖尿病患者を対象にした7つのRCTを整理し、血中AGEは3/3試験で低下、炎症は4/4試験で改善した一方、HbA1cは6/6試験で変化なし、インスリン抵抗性は3/3試験で変化なしだったと報告しています。
11. RCT:Bai MR, et al. Effect of low vs high dietary-advanced glycation end products on insulin-sensitivity and inflammatory-markers among overweight/obese Asian-Indian adults: A randomised controlled trial. Int J Food Sci Nutr 2024;75(8):835-845. DOI: 10.1080/09637486.2024.2405121. 過体重・肥満の成人38人に低AGE食と高AGE食を12週間ずつ提供したクロスオーバー試験で、低AGE食でβ細胞機能の指標が改善し、血中AGEが低下したと報告しています。
12. コホート:He H, et al. Dietary advanced glycation end products intake, genetic predisposition and risk of coronary heart disease: a prospective study. Eur J Nutr 2025. DOI: 10.1007/s00394-025-03632-x. UKバイオバンクを中央値12.2年追跡し、食事AGE摂取量の上位3分の1は下位に比べて冠動脈疾患のリスクが1.12倍で、遺伝的リスクが高い人ではより大きかったと報告しています。摂取量は食事記録からの推定値です。
13. メタ解析:Ahmadirad H, et al. Uncovering the possible link between dietary advanced glycation end products and mortality risk: A systematic review and meta-analysis. Cancer Epidemiol 2025. DOI: 10.1016/j.canep.2025.102807. 6つのコホート・111,543人をまとめ、食事AGEの摂取量と総死亡・心血管死・がん死のいずれにも有意な関連がなかったと報告しています。がんの発症についても、別の系統的レビュー・メタ解析(5コホート・約122万人、2024年)で関連は見られていません。
14. コホート:Chen J, et al. The association between dietary and skin advanced glycation end products: the Rotterdam Study. Am J Clin Nutr 2020;112(1):129-137. DOI: 10.1093/ajcn/nqaa117. 2,515人で食事AGE摂取量と皮膚AGE(皮膚自家蛍光)の関連を調べ、全体では関連がなく、糖尿病も腎臓病もない人に限ってCML摂取量とごくわずかな正の関連があったと報告しています。
15. 総説:Uribarri J, Tuttle KR. Dietary Advanced Glycation End Products and Cardiovascular-Kidney-Metabolic Complications. Clin J Am Soc Nephrol 2026. DOI: 10.2215/CJN.0000000859. 食事AGEの制限が血中AGEと炎症マーカーを下げる証拠を整理しつつ、大規模RCTの必要性を明記し、調理法の工夫は既存の食事指針と一致するため取り入れる価値があると位置づけています。
16. RCT(二次解析):Kahleova H, et al. Dietary advanced glycation products and their associations with insulin sensitivity and body weight: A 16-week randomized clinical trial. Obes Sci Pract 2023. DOI: 10.1002/osp4.646. 過体重の244人を対象にした16週間の試験で、低脂質の植物性中心の食事に変えた群では食事AGEが1日あたり約8,800 kU減り、その減少が体重や体脂肪、インスリン感受性の変化と関連したと報告しています。食事全体を変えた試験であり、AGE単独の効果を示したものではありません。
編集方針・免責事項
- 本記事は食事・調理とAGEの関係を、査読研究にもとづいて一般向けに整理したものです。特定の食品・調理法・製品・検査を推奨または否定するものではありません。
- 食品のAGE値は測定法や条件で大きく変わる目安です。低AGE食の健康効果は短期の小規模試験の段階にあり、病気の予防や寿命への効果はヒトで確立していません。
- 糖尿病・腎臓病などで食事療法を受けている方、高齢の方は、自己判断で食事を大きく変えず、医師・管理栄養士などの専門家にご相談ください。本記事は診断・治療の助言ではありません。
- 情報は最終更新時点のものです。最新情報は原著・総説をご確認ください。
この記事は WSN. 私たちは、死なない。 編集部により2026年10月に作成・公開されました。「糖化(AGE)と老化」特集の第6回です。
Newsletter
無料PDF「アンチエイジングサプリ・スターターガイド」
基盤6成分(オメガ3・プロテイン・EVOO・ビタミンD・マグネシウム・クレアチン)の選び方・容量・タイミング・品質基準を、図解11点とともに24ページにまとめた無料PDFです。メール登録で即時お受け取りいただけます。週次の論文要約ニュースレターも一緒にお届けします。
自分専用のサプリ・スタックを論理的に組み立てる
年齢・目的・予算・既存習慣を入力すると、基盤6成分を起点にしたあなた専用のスタックを、ヒトRCTのエビデンスとともに提示します。