マルチビタミンで死亡リスクが上がる? ─「+4%」の正体と、本当に注意すべき使い方【メイ&トキ&デバの対話】
「マルチビタミンで死亡リスクが4%上がった」という研究(JAMA Network Open 2024、39万人)。でもこれは“飲むと死ぬ”という意味ではありません。観察研究の相関と逆の因果、そして本当に害が示された高用量βカロテン(喫煙者)の話まで、メイ&トキ&デバの対話で正直に検証します。
最終更新: 2026年6月 / 監修: WSN. 私たちは、死なない。 編集部
結論(30秒で読める要約)
- 「マルチビタミンで死亡リスクが約4%上がった」という大規模研究はあります(JAMA Network Open 2024、健康な成人 約39万人を20年以上追跡。毎日使用で全死亡のハザード比1.04、追跡初期)1。
- ただしこれは観察研究の“相関”であって“因果”ではありません。「体調を崩した人ほどサプリを飲み始める」という**逆の因果(リバース・コーゼーション)**で説明できる可能性が高く、研究者自身も慎重です。「飲むと4%死ぬ確率が上がる」という読み方は不正確です。
- 正確な結論は、「健康で食事がとれている人が、延命目的でマルチビタミンを常用する根拠は弱い(延命効果は確認されていない)」ということ1。
- 一方で、本当に害が示されたサプリもあります。高用量の合成βカロテンは、喫煙者で肺がんと総死亡を増やしました(試験が早期中止になったほど)45。抗酸化サプリのメタ解析でも、βカロテン・ビタミンA・ビタミンEは死亡リスク上昇と関連(ビタミンC・セレンは中立)3。
- 要するに——欠乏を補うサプリと、健康な人が延命を期待して漫然と飲むサプリは別物。喫煙者は高用量βカロテンを避ける。基本は食事が先、サプリは穴埋めです。
- 本記事は研究の整理であり、特定の製品の効果・危険性を断定したり、治療を保証するものではありません。
▼ あわせて読む
- サプリは何から始めるべきか → アンチエイジングサプリは何から始めるか
- 老化のしくみの地図 → 老化の12のホールマーク完全解説
対話で読む:マルチビタミンは「危険」なのか

















WSN 編集部の見方
センセーショナルな見出しは「マルチビタミンで死亡リスク◯%」と、因果のように書きがちです。けれど一次情報を読むと、JAMA 2024 の本質は「健康な人で延命効果は確認されなかった」こと、そして「+4%」は逆の因果で説明されうる相関だということ1。ここを取り違えると、必要以上に怖がるか、逆に「全部デマだ」と振れすぎてしまいます。
一方で、サプリは無条件に安全でもありません。高用量の合成βカロテンが喫煙者で害を示し、試験が中止された事実45、抗酸化サプリの一部が死亡リスク上昇と関連したメタ解析3は、「栄養素も、量と相手しだいで毒になりうる」という大切な教訓です。
WSNの立場はシンプルです。欠乏は補う。健康な人の“延命サプリ”は過信しない。食事を土台に置く。喫煙者は高用量βカロテンを避ける。 派手な数字に煽られず、一次情報に戻って読むこと——それが、遠回りに見えていちばん安全な道です。
参考文献(主要なものを抜粋)
1. Loftfield E, et al. Multivitamin Use and Mortality Risk in 3 Prospective US Cohorts. JAMA Network Open. 2024;7(6):e2418729.(健康な成人 約39万人を20年以上追跡。毎日のマルチビタミン使用は死亡率の低下と関連せず、追跡初期はハザード比1.04=約4%高い。因果ではなく逆の因果等の交絡が指摘される)
2. Mursu J, et al. Dietary Supplements and Mortality Rate in Older Women: The Iowa Women's Health Study. Arch Intern Med. 2011;171(18):1625-1633.(高齢女性のコホート。マルチビタミン等の使用と総死亡率の関連を報告。観察研究)
3. Bjelakovic G, et al. Antioxidant supplements for prevention of mortality in healthy participants and patients with various diseases. Cochrane Database Syst Rev. 2012;(3):CD007176.(78のランダム化試験・約30万人。βカロテン・ビタミンA・ビタミンEは死亡リスク上昇と関連、とくに高用量で。ビタミンC・セレンは関連せず)
4. The Alpha-Tocopherol, Beta Carotene Cancer Prevention Study Group. The effect of vitamin E and beta carotene on the incidence of lung cancer and other cancers in male smokers (ATBC). N Engl J Med. 1994;330(15):1029-1035.(男性喫煙者で合成βカロテンが肺がん罹患・総死亡を増やした)
5. Omenn GS, et al. Effects of a Combination of Beta Carotene and Vitamin A on Lung Cancer and Cardiovascular Disease (CARET). N Engl J Med. 1996;334(18):1150-1155.(喫煙者・石綿曝露者でβカロテン+ビタミンAが肺がん・総死亡を増やし、試験は早期中止)
編集方針・免責事項
- 本記事は、栄養疫学・ランダム化試験の一般的知見を教育目的で整理したもので、特定の疾患の診断・治療・予防や、特定製品の効果・危険性を保証・断定する医療上の助言ではありません。
- 「死亡リスク+4%」は観察研究における相関であり、因果関係を示すものではありません。高用量βカロテンの害は、主に喫煙者・特定集団で示されたものです。
- 体質・既往症・服薬・喫煙状況により適否は異なります。サプリメントの開始・中止や、持病・服薬のある方は、自己判断せず、かかりつけ医・薬剤師にご相談ください。
この記事は WSN. 私たちは、死なない。 編集部により2026年6月に作成・公開されました。最新の研究を反映するため定期的に更新します。
▶ 次に読むのにおすすめ
Newsletter
無料PDF「アンチエイジングサプリ・スターターガイド」
基盤6成分(オメガ3・プロテイン・EVOO・ビタミンD・マグネシウム・クレアチン)の選び方・容量・タイミング・品質基準を、図解11点とともに24ページにまとめた無料PDFです。メール登録で即時お受け取りいただけます。週次の論文要約ニュースレターも一緒にお届けします。
自分専用のサプリ・スタックを論理的に組み立てる
年齢・目的・予算・既存習慣を入力すると、基盤6成分を起点にしたあなた専用のスタックを、ヒトRCTのエビデンスとともに提示します。