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マルチビタミンで死亡リスクが上がる? ─「+4%」の正体と、本当に注意すべき使い方【メイ&トキ&デバの対話】

「マルチビタミンで死亡リスクが4%上がった」という研究(JAMA Network Open 2024、39万人)。でもこれは“飲むと死ぬ”という意味ではありません。観察研究の相関と逆の因果、そして本当に害が示された高用量βカロテン(喫煙者)の話まで、メイ&トキ&デバの対話で正直に検証します。

WSN. 私たちは、死なない。 編集部·公開: 2026年6月27日·最終更新: 2026年6月27日

最終更新: 2026年6月 / 監修: WSN. 私たちは、死なない。 編集部

マルチビタミンと死亡リスクの検証ポイント図。延命効果は確認されず、+4%は逆の因果の可能性。高用量βカロテンは喫煙者で有害。ビタミンC・セレンは中立。
マルチビタミンと死亡リスクの要点。「延命効果は未確認」「+4%は因果ではない」「高用量βカロテンは喫煙者で有害」「欠乏の補正と漫然常用は別物」。

結論(30秒で読める要約)

  • 「マルチビタミンで死亡リスクが約4%上がった」という大規模研究はあります(JAMA Network Open 2024、健康な成人 約39万人を20年以上追跡。毎日使用で全死亡のハザード比1.04、追跡初期)1
  • ただしこれは観察研究の“相関”であって“因果”ではありません。「体調を崩した人ほどサプリを飲み始める」という**逆の因果(リバース・コーゼーション)**で説明できる可能性が高く、研究者自身も慎重です。「飲むと4%死ぬ確率が上がる」という読み方は不正確です。
  • 正確な結論は、「健康で食事がとれている人が、延命目的でマルチビタミンを常用する根拠は弱い(延命効果は確認されていない)」ということ1
  • 一方で、本当に害が示されたサプリもあります高用量の合成βカロテンは、喫煙者で肺がんと総死亡を増やしました(試験が早期中止になったほど)45。抗酸化サプリのメタ解析でも、βカロテン・ビタミンA・ビタミンEは死亡リスク上昇と関連(ビタミンC・セレンは中立)3
  • 要するに——欠乏を補うサプリと、健康な人が延命を期待して漫然と飲むサプリは別物。喫煙者は高用量βカロテンを避ける。基本は食事が先、サプリは穴埋めです。
  • 本記事は研究の整理であり、特定の製品の効果・危険性を断定したり、治療を保証するものではありません。

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対話で読む:マルチビタミンは「危険」なのか

メイ
メイトキさん、ちょっと怖いものを見ちゃって…。「マルチビタミンを飲むと死亡リスクが4%上がる」って。わたし毎日飲んでるんですけど、やめたほうがいいですか…?
トキ
トキその数字、出どころは2024年の大きな研究ですね。健康な成人を約39万人、20年以上追跡したもの(JAMA Network Open)。たしかに、毎日マルチビタミンを使う人は、使わない人より全死亡リスクが約4%高いという結果が出ました(ハザード比1.04、追跡初期)1
メイ
メイやっぱり…! じゃあ飲むと4%、死にやすくなるってことですか?
トキ
トキいいえ、そこが大事なところです。これは“相関”であって“因果”ではありません。いちばん疑われているのが「逆の因果」。つまり、体調を崩した人・健康が不安な人ほど、マルチビタミンを飲み始める。だから「サプリを飲んでいる人」のグループに、もともとリスクの高い人が多く混じってしまう。サプリが死亡を増やしたのではなく、死亡しやすい人がサプリを手に取っていた——この可能性が高いんです1
デバ
デバふぉっふぉ、ワシからも言うておこう。観察研究というのはな、「一緒に起きていること」を見るのは得意でも、「どっちが原因か」を決めるのは苦手なのじゃ。傘をさす人が多い日は雨が多い。でも傘が雨を降らせたわけではなかろう? それと同じよ。
メイ
メイあ…なるほど。「飲んだから死ぬ」じゃなくて、「不安な人が飲んでた」のかもしれない、と。ちょっと安心しました。
トキ
トキはい。だから正しい結論は「マルチビタミンは危険だ」ではなく、「健康で食事がとれている人が、“長生きのため”に飲んでも、延命効果は確認されていない」。この研究の本当のメッセージは“害”より“効果のなさ”なんです1。古い研究(高齢女性のコホート)でも、似た「効果なし〜やや関連」が報告されています2
メイ
メイじゃあ、サプリで本当に“害”が出たことはないんですか? それなら全部こわがらなくていいのに。
トキ
トキ…ここは正直に言います。本当に害が示された例は、あります。有名なのが高用量の合成βカロテン。喫煙者や石綿(アスベスト)作業者を対象にした大規模試験で、肺がんと“総死亡”がむしろ増えたんです。ATBC試験では総死亡が約8%、CARET試験では約17%多く、CARETは危険性のため試験が早期中止になりました45
メイ
メイえっ、βカロテンって…ニンジンとか緑黄色野菜の、体に良さそうなやつですよね? それが?
デバ
デバそこが肝じゃ。野菜に含まれるβカロテンと、サプリの“高用量・単体”のβカロテンは、別ものと考えたほうがよい。自然の食べ物は、何十種類もの成分が“ほどほどの量”で一緒に入っておる。それを1つだけ取り出して大量に詰め込むと、とくに肺がリスクを抱えた喫煙者では、裏目に出た。量と形が変われば、薬にも毒にもなるのじゃ。
トキ
トキ抗酸化サプリ全体をまとめた大きなメタ解析(78試験・約30万人)でも、βカロテン・ビタミンA・ビタミンEは死亡リスクの上昇と関連し、とくにRDA(推奨量)を超える高用量で目立つと報告されています。一方でビタミンCとセレンは、死亡リスクの上昇とは関連しませんでした3。「抗酸化サプリ=なんでも体に良い」ではない、ということですね。
メイ
メイうーん、混乱してきました…。結局、マルチビタミンは飲んでいいの? ダメなの?
トキ
トキ「良い・悪い」ではなく、“目的しだい”で整理しましょう。
本当に欠乏がある人(偏食・吸収不良・妊娠期・高齢で食が細い等)の補正 → 意味がある
健康で食事がとれている人が“延命目的”で常用根拠は弱い(効果は確認されていない)。
喫煙者・喫煙歴のある人高用量βカロテンを含む製品は避ける45
これが、いまの研究から言える現実的な線引きです。
デバ
デバそしてな、いちばんの落とし穴を言うておく。「サプリを飲んでいる」という安心感で、肝心の食事が雑になることじゃ。野菜も魚も果物もない食卓を、1粒の錠剤が埋めてはくれん。食事が先、サプリは“穴埋め”。順番を逆にしてはいかんぞ。
メイ
メイ…すごく腑に落ちました。「4%」にびっくりして全部こわがるんじゃなくて、“なぜその数字が出たか”と“何が本当に危ないか”を分けて考えるんですね。わたしは食事を整えつつ、足りない分だけ補うことにします。
トキ
トキそれが最良の落とし所です。“+4%”は因果ではない。でも“延命効果は確認されていない”のも事実。欠乏を補い、食事を整える——遠回りに見えて、これがいちばん確かな道です。気になる症状や持病・服薬がある方は、自己判断の前にかかりつけ医や薬剤師に相談してくださいね。

WSN 編集部の見方

センセーショナルな見出しは「マルチビタミンで死亡リスク◯%」と、因果のように書きがちです。けれど一次情報を読むと、JAMA 2024 の本質は「健康な人で延命効果は確認されなかった」こと、そして「+4%」は逆の因果で説明されうる相関だということ1。ここを取り違えると、必要以上に怖がるか、逆に「全部デマだ」と振れすぎてしまいます。

一方で、サプリは無条件に安全でもありません。高用量の合成βカロテンが喫煙者で害を示し、試験が中止された事実45、抗酸化サプリの一部が死亡リスク上昇と関連したメタ解析3は、「栄養素も、量と相手しだいで毒になりうる」という大切な教訓です。

WSNの立場はシンプルです。欠乏は補う。健康な人の“延命サプリ”は過信しない。食事を土台に置く。喫煙者は高用量βカロテンを避ける。 派手な数字に煽られず、一次情報に戻って読むこと——それが、遠回りに見えていちばん安全な道です。


参考文献(主要なものを抜粋)

1. Loftfield E, et al. Multivitamin Use and Mortality Risk in 3 Prospective US Cohorts. JAMA Network Open. 2024;7(6):e2418729.(健康な成人 約39万人を20年以上追跡。毎日のマルチビタミン使用は死亡率の低下と関連せず、追跡初期はハザード比1.04=約4%高い。因果ではなく逆の因果等の交絡が指摘される)

2. Mursu J, et al. Dietary Supplements and Mortality Rate in Older Women: The Iowa Women's Health Study. Arch Intern Med. 2011;171(18):1625-1633.(高齢女性のコホート。マルチビタミン等の使用と総死亡率の関連を報告。観察研究)

3. Bjelakovic G, et al. Antioxidant supplements for prevention of mortality in healthy participants and patients with various diseases. Cochrane Database Syst Rev. 2012;(3):CD007176.(78のランダム化試験・約30万人。βカロテン・ビタミンA・ビタミンEは死亡リスク上昇と関連、とくに高用量で。ビタミンC・セレンは関連せず)

4. The Alpha-Tocopherol, Beta Carotene Cancer Prevention Study Group. The effect of vitamin E and beta carotene on the incidence of lung cancer and other cancers in male smokers (ATBC). N Engl J Med. 1994;330(15):1029-1035.(男性喫煙者で合成βカロテンが肺がん罹患・総死亡を増やした)

5. Omenn GS, et al. Effects of a Combination of Beta Carotene and Vitamin A on Lung Cancer and Cardiovascular Disease (CARET). N Engl J Med. 1996;334(18):1150-1155.(喫煙者・石綿曝露者でβカロテン+ビタミンAが肺がん・総死亡を増やし、試験は早期中止)


編集方針・免責事項

  • 本記事は、栄養疫学・ランダム化試験の一般的知見を教育目的で整理したもので、特定の疾患の診断・治療・予防や、特定製品の効果・危険性を保証・断定する医療上の助言ではありません。
  • 「死亡リスク+4%」は観察研究における相関であり、因果関係を示すものではありません。高用量βカロテンの害は、主に喫煙者・特定集団で示されたものです。
  • 体質・既往症・服薬・喫煙状況により適否は異なります。サプリメントの開始・中止や、持病・服薬のある方は、自己判断せず、かかりつけ医・薬剤師にご相談ください。

この記事は WSN. 私たちは、死なない。 編集部により2026年6月に作成・公開されました。最新の研究を反映するため定期的に更新します。

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マルチビタミンサプリメント死亡リスク徹底検証抗酸化

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